後遺障害認定後の医療・リハビリの注意点(長期治療の重要性と費用負担)

ホーム » コラム » 後遺障害認定後の医療・リハビリの注意点(長期治療の重要性と費用負担)

はじめに

交通事故によって後遺障害が残った場合、症状固定後もリハビリや通院を続ける必要があるケースは少なくありません。「後遺障害等級が認定されたらもう治療は打ち切るもの」と思い込むのは危険です。むしろ、後遺症を可能な限り軽減し、日常生活や仕事への支障を最小限に抑えるためには、長期にわたる医療やリハビリが大切となります。

本稿では、後遺障害認定後にどのような医療・リハビリを受けるべきか、費用負担は誰がどのように負担するのかなど、具体的な注意点を解説します。「後遺障害が認定されてしまったが、この先どのように治療を継続すればいいのか分からない」という方は、ぜひ参考にしてください。

Q&A

Q1:後遺障害が認定されたら、もう治療を続けても保険会社は費用を払ってくれないのですか?

原則として「症状固定後の治療費」は基本的に自己負担となることが多いです。ただし、医学的に「さらに治療を行えば改善が期待できる」などの根拠があれば、保険会社と交渉の余地がある場合もあります。

Q2:後遺障害認定後もリハビリを受けたいのですが、費用はどうなりますか?

健康保険や自費で通院する形になることが多いです。リハビリをどれだけ続けられるかは、医師の判断や保険会社との交渉次第ですが、原則的には症状固定後の費用負担は被害者自身の負担が中心です。

Q3:長期的な通院が必要な場合、どのような方法で費用負担を軽減できますか?

一例として、健康保険の利用、労災保険(仕事中の事故の場合)、生活保護受給中なら医療扶助などが考えられます。また、後遺障害が重度の場合、障害年金の対象となるケースもあるため、社会保障制度を活用することがポイントです。

Q4:リハビリの種類にはどんなものがありますか?

整形外科での物理療法(温熱・電気治療など)や運動療法、作業療法、言語療法、鍼灸やマッサージなど、症状に応じてさまざまなリハビリ方法があります。後遺障害の種類によって適切なリハビリを選択し、医師や理学療法士と相談することが大切です。

Q5:後遺障害認定後も通院し続けるメリットは何ですか?

痛みやしびれを軽減し、日常生活や仕事への支障を少なくすることが主なメリットです。また、継続的な治療を受けることで、症状悪化を予防し、医療的なサポートを得られる安心感があります。

Q6:もし治療費が続かない場合は、示談交渉で何か手当てしてもらえるのですか?

後遺障害等級が高いケースなどでは、将来の治療費や介護費用として「将来介護費」などを請求できる場合があります。ただし、裁判例などから基準が限られており、簡単には認められないことが多いです。弁護士と相談して請求可能性を探ることが重要でしょう。

解説

後遺障害認定後の治療継続の意義

  1. 痛み・しびれの緩和
    むちうち症状や関節可動域制限など、リハビリである程度軽減可能な症状が多い。
  2. 機能回復・維持
    脳損傷や脊髄損傷で後遺症が残っても、適切なリハビリで日常生活の動作を向上または維持できる場合がある。
  3. 精神的ケア
    後遺障害に伴うストレスや不安を減らすために、カウンセリングや心療内科でのケアが必要になるケースもある。

費用負担の考え方

  1. 症状固定後の治療費は自己負担が原則
    • 自賠責や任意保険は、症状固定までの治療費を補償するのが基本的な考え方。
    • 症状固定後に受けるリハビリやマッサージは、健康保険や自費での支払いとなることが多い。
  2. 例外的に保険会社が認める場合
    医学的に「症状固定後も一定期間の治療で更なる改善が見込める」といった明確な根拠がある場合、保険会社と交渉すれば一部負担してもらえる可能性もゼロではない。
  3. 将来介護費・将来のリハビリ費
    重度後遺障害(1~2級など)で継続的な介護やリハビリが必要となる場合は、示談交渉や裁判で将来費用を請求できる場合もある。ただし認定ハードルが高いことも事実。

医療・リハビリの注意点

  1. リハビリ計画の作成と評価
    病院やリハビリ施設で、理学療法士や作業療法士と相談し、長期的なリハビリ計画を立てる。定期的に評価・見直しを行い、効果を検証する。
  2. 医師とのコミュニケーション
    痛みや可動域制限の程度を日々記録し、医師に正確に伝える。適切なリハビリを受けるためには、症状の客観的把握が必要。
  3. セカンドオピニオンの活用
    現在の主治医のリハビリ方針に疑問がある場合、別の医療機関や専門医に相談することで、より良い治療法を見つけられる可能性がある。
  4. 仕事や日常動作とのバランス
    後遺障害を持ちながらの通院は、仕事との両立などで時間的・経済的負担が大きい。可能な範囲でスケジュールを工夫しながら継続することが重要。

弁護士に相談するメリット

  1. 保険会社との治療費交渉
    症状固定後であっても、特別な事情がある場合に保険会社と追加の治療費を交渉する余地がある。弁護士がいれば適切な交渉が期待できる。
  2. 将来介護費や将来治療費の請求
    重度後遺障害の場合、示談時に将来費用をどう見積もるかが大きな争点。弁護士が過去の判例などを参照し、合理的な主張を展開する。
  3. 医療ネットワークの活用
    交通事故に強い弁護士は、必要に応じて専門医を紹介したり、セカンドオピニオン取得に協力するなど、医療とのパイプを持っているケースが多い。
  4. ストレス軽減
    リハビリに専念したい被害者が、保険会社との煩雑な連絡をすべて行うのは大変。弁護士が交渉窓口となることで、精神的負担を軽減できる。
  5. 弁護士費用特約の利用
    任意保険の弁護士費用特約が付帯していれば、弁護士費用を保険会社が負担してくれる可能性がある。

まとめ

後遺障害等級が認定されたからといって、治療やリハビリを完全に打ち切ってしまうのは得策ではありません。むしろ、後遺症を少しでも軽減し、日常生活や仕事への影響を小さくするために、「症状固定後の適切な医療・リハビリ」が重要です。

  • 症状固定後の治療費は基本的に自己負担だが、重度の場合は「将来費用」として示談交渉で争う余地がある
  • 健康保険や労災保険、障害年金など社会制度を活用して費用負担を軽減する
  • セカンドオピニオンや専門医との連携でリハビリ効果を図る
  • 弁護士のサポートにより、保険会社との費用交渉や長期的な治療計画への理解を得やすい

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、後遺障害認定後の治療・リハビリに関する問題にも経験豊富です。必要に応じて医療ネットワークを活用し、被害者が適切な医療を受けられるように、保険会社との交渉をサポートいたします。

その他のコラムはこちら|交通事故のコラム一覧


交通事故の動画を多数公開中!

交通事故についてさらに詳しく知りたい方のために、当事務所では交通事故後の対応に役立つ解説動画を配信しています。ご興味がある方はぜひご視聴及びチャンネル登録をご検討ください。

初回無料|お問い合わせはお気軽に

長瀬総合法律事務所では、ホームページからの予約、オンラインでの予約、電話、LINEといった複数のお問い合わせ方法をご用意しております。お好みの方法でお気軽にお問い合わせください。

keyboard_arrow_up

0298756812 LINEで予約 問い合わせ