死亡事故の損害賠償項目(葬儀費用、死亡慰謝料、逸失利益など)

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はじめに

交通事故でご家族や大切な方を亡くした場合、深い悲しみに加え、損害賠償や保険金請求の問題に直面します。亡くなられた被害者自身に対する損害として「死亡慰謝料」や「逸失利益」があり、また葬儀費用や遺族の精神的苦痛に対する近親者慰謝料など、多岐にわたる項目を請求することが可能です。

本稿では、死亡事故の場合に請求できる主な損害賠償項目を整理し、それぞれの具体的内容や計算方法のポイントを解説します。加害者側(または保険会社)との示談交渉や裁判で適正な賠償を獲得するためにも、死亡事故特有の項目を正しく理解しておくことが重要です。

Q&A

Q1:死亡事故で請求できる主な損害賠償項目には、どのようなものがありますか?

大きく分けると、「葬儀費用」「死亡慰謝料」「逸失利益」「近親者慰謝料(遺族の精神的苦痛)」などです。さらに、仏壇・墓地取得費用が認められる場合や、相続人間での分配が必要になるケースもあります。

Q2:葬儀費用はすべて賠償してもらえるのでしょうか?

葬儀費用は「社会通念上、妥当と認められる範囲」で賠償対象になります。過度に高額な葬儀費や香典返しなどは認められない場合がありますが、一般的な葬儀にかかった費用は請求可能です。

Q3:死亡慰謝料にはどのような種類があるのですか?

大きく分けて、被害者本人に対する慰謝料(死亡による慰謝料)と、近親者に対する慰謝料(遺族の精神的苦痛)が考えられます。賠償項目としては、ひとつにまとめて「死亡慰謝料」と呼ばれるケースもあります。

Q4:逸失利益の計算は、生存していれば得られたであろう生涯収入を算出するのですか?

はい、被害者が通常の健康状態で生存していれば稼ぐはずだった収入を「就労可能年数」や「ライプニッツ係数」などを用いて計算します。被害者が高齢者や無職の場合でも、一定の収入推定が認められる場合があります。

Q5:死亡事故の場合、近親者への慰謝料はどの程度認められますか?

裁判所基準では、被害者本人の慰謝料に加え、配偶者・子ども・両親などの近親者に対しても別途慰謝料が発生することが一般的です。金額は被害者本人への慰謝料に近い水準から、個別事情に応じて調整されます。

Q6:損害賠償金は、誰がどのように受け取るのでしょうか?

被害者に対する死亡慰謝料や逸失利益は被害者の相続財産となり、法定相続人(配偶者・子ども・被扶養者など)で分配するのが原則です。近親者慰謝料は、個々の遺族が固有の権利として取得します。

解説

葬儀費用

  1. 賠償対象となる範囲
    • 火葬費、式場費、祭壇費用、僧侶へのお布施などが「社会通念上相当」と認められる範囲。
    • 豪華な葬儀や過度な香典返しなどは、賠償対象としては制限されることが多い。
  2. 請求に必要な書類
    領収書(葬儀社からの明細)、死亡診断書、遺族の氏名・住所など。
  3. 注意点
    仏壇・墓石・墓地購入費は葬儀費用として認められにくいが、まれに一定額が認められる判例もある。

死亡慰謝料

  1. 被害者本人の慰謝料
    • 被害者が生前に被った苦痛(死亡による極度の苦痛)を金銭評価するもの。
    • 裁判所基準で、被害者本人分として2000万~2800万円前後が相場となるケースもある(被害者の年齢・家族構成などで変動)。
  2. 近親者慰謝料
    • 被害者を失った遺族(配偶者・子・両親など)の精神的苦痛に対する補償。
    • 裁判所基準では、被害者本人の慰謝料と合わせて総額を算定する形が一般的。

逸失利益

  1. 基礎収入
    • 被害者が生存していれば得られたはずの収入(会社員なら給与、自営業なら過去の申告書など)。
    • 主婦の場合は家事労働の経済的価値を認め、女子労働者の平均賃金を基準にするのが一般的。
  2. 就労可能年数
    多くは67歳までを想定。被害者の年齢や職種で修正がかかることもある。
  3. ライプニッツ係数による中間利息控除
    将来の収入を一括受け取りする形になるため、年5%などの複利計算で割り引く。
  4. 高齢者や子どもの場合
    高齢者は就労年数が短いとして減額されることが多い。一方、子どもは将来の収入を推定して計算する。

弁護士に相談するメリット

  1. 複雑な損害項目を整理し、適正な金額を算定
    死亡事故では高額な賠償が見込まれ、保険会社との交渉が長期化しがち。弁護士が裁判所基準に基づいて計算し、増額を主張。
  2. 相続人の確定サポート
    戸籍謄本を取得し、法定相続人を特定。遺族間で賠償金をどのように分配するかアドバイスを行う。
  3. 刑事手続きとの連携
    加害者が刑事事件として起訴される場合、被害者参加制度や検察への意見陳述などを弁護士がサポートし、遺族の気持ちを反映させやすくなる。
  4. 精神的負担の軽減
    大切な人を失った遺族にとって、保険会社との交渉は大きなストレス。弁護士が交渉窓口となり、遺族は心のケアや葬儀対応に専念できる。
  5. 弁護士費用特約の活用
    遺族が加入している保険に弁護士費用特約があれば、費用負担を気にせず依頼しやすい。

まとめ

死亡事故における損害賠償項目は、葬儀費用死亡慰謝料、そして被害者が将来得られたはずの逸失利益が中心です。さらに、近親者慰謝料という遺族自身への補償項目も存在し、総額として数千万円以上の大きな金額となる可能性もあります。

  • 葬儀費用:社会通念上相当と認められる範囲が賠償対象
  • 死亡慰謝料:被害者本人の慰謝料+近親者への慰謝料
  • 逸失利益:被害者が将来稼ぐはずだった収入(基礎収入×就労可能年数×労働能力喪失率)
  • 相続人調査:保険金や賠償金の受取人を確定するために必要

死亡事故における賠償は、高額であるがゆえに保険会社との争いも激しくなることが多いです。弁護士への相談により、裁判所基準での正確な損害計算や、相続人調査・刑事手続きとの連携を視野に入れた総合サポートを受けられます。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、遺族の方に寄り添い、適正な賠償額を獲得できるよう全力でサポートいたします。

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