はじめに
交通事故で負傷して通院やリハビリをする場合、どんな治療をどれだけ受けたのかを正確に記録しておくことは、後の示談交渉や後遺障害認定において非常に重要です。たとえば、保険会社が「本当にそんなに通院が必要だったのか?」と疑ってきた場合や、後遺障害認定の際に「どれだけ症状が継続していたか」を示す必要があるとき、通院実績の客観的な証拠が大きな役割を果たします。
本稿では、診察券や領収書、通院日記などを活用して事故後の治療内容・通院実績を記録する具体的な方法を解説します。きちんとデータを残しておけば、保険会社の低評価を回避し、正当な賠償を受けるための有力な証拠となるでしょう。
Q&A
Q1:なぜ通院記録を詳細に残す必要があるのでしょうか?
保険会社や後遺障害認定機関に対して、どれだけ治療が必要だったか、症状が継続していたかを示す客観的証拠になるからです。記録がないと「ほとんど通院していない」とみなされ、慰謝料の減額や後遺障害の不認定につながるリスクがあります。
Q2:診察券や領収書はどのように保管すればいいですか?
事故後に通った医療機関の診察券は、来院日ごとに更新される場合や通院先ごとに複数ある場合があります。すべて捨てずに保管し、通院日数を正確に証明できるようにしておきましょう。領収書やレシートは時系列でファイリングすると後で探しやすいです。
Q3:通院日記とは具体的にどんな内容を書けばいいですか?
痛みの程度(数値化など)、どの部位が痛むか、日常生活で困ったこと(家事や仕事への支障)、リハビリの内容と時間、医師やリハビリ担当者からのアドバイスなどを簡潔に日ごとに記録します。後に「事故からどんな経過をたどったか」を説明する際、大いに役立ちます。
Q4:診断書を紛失した場合でも、病院で再発行してもらえるのでしょうか?
多くの病院ではカルテ保管期間(通常5年程度)は再発行に応じてくれますが、追加費用がかかる場合があります。早めに弁護士や病院に問い合わせ、再発行手続きを行うとよいでしょう。
Q5:整骨院や接骨院の施術記録も同じように保管する必要がありますか?
はい。同じく領収書や施術内容の記録を保管してください。ただし、後遺障害認定や保険会社の支払いでは、医師の診断の方が重視されることが多いので、整形外科など医療機関との併用が望ましいです。
Q6:弁護士はこうした通院記録をどのように活用してくれるのですか?
示談交渉や後遺障害認定手続きで、保険会社に「通院期間・通院回数がこれだけ必要だった」「症状が継続していた」ことを客観的に示す根拠として提出します。保険会社が低額を提示してきても、しっかりした記録があれば増額を勝ち取れるケースが多いです。
解説
事故後の治療内容・通院実績を記録するメリット
- 保険会社への説得力
「こんなに痛みがある」「こんなに通院した」という主張を裏付ける客観的証拠となり、慰謝料の増額につながる。 - 後遺障害認定の信頼性アップ
症状固定後、後遺障害診断書を作成する際に、どれだけ治療やリハビリを続けても症状が残ったかを示す材料となる。 - 請求漏れの防止
通院交通費や入院雑費など、細かい出費を正確に記録しておけば、示談時に漏れなく請求できる。
具体的な記録方法
- 診察券・領収書の保管
- 通院先ごとに封筒やクリアファイルなどで分けて保管。
- 日付と金額をメモしておくと、どの程度の通院実績があるか一覧化しやすい。
- 通院日記・アプリ
- ノートやスマホのメモアプリに、日ごとの症状・痛みの度合い・医師の指示などを書き込む。
- 出来れば時間帯や生活上の支障も記録しておくと、後の交渉で「日常生活にどのくらい影響が出ているか」を具体的に示せる。
- 医師・リハビリ担当とのコミュニケーション
- 「今日はこういう症状があった」「前回より痛みが増した」などを医療スタッフに伝え、カルテに反映してもらう。
- 後日、診断書やカルテの記載内容が保険会社への有力な証拠となる。
記録を活かすためのポイント
- 定期的に整理
- 領収書や日記を月ごとや週ごとにまとめ、通院先や金額を一覧化すると示談交渉で提示しやすい。
- 不備や空白期間を作らない
- 通院を怠ったり中断すると「本当は痛みがなかったのでは?」と疑われる。
- やむを得ない理由があるなら、日記等に理由を記載しておく(仕事が忙しかった、医師が指示した休養日など)。
- 弁護士との情報共有
- 記録データを弁護士に適宜提供し、保険会社への反論材料や後遺障害認定の書類に活用してもらう。
弁護士に相談するメリット
- 記録の重要性を具体的にアドバイス
被害者がどのような点を日記に書き込むべきか、どんな領収書が必要かなど実務に基づく指導を受けられる。 - 整理した記録を論拠に交渉
保険会社が「通院が過剰だ」と主張しても、弁護士が客観的データを示し、正当性を主張できる。 - 後遺障害手続きで有利に
症状固定後の診断書作成をサポートし、通院日数や症状の推移をしっかり反映。適正な等級認定を狙う。 - 請求漏れ防止
通院交通費や入院雑費などの細かな費用を見落とさないよう、弁護士がチェックリストに基づき算定。 - 弁護士費用特約で負担軽減
記録をきちんとつけている被害者なら、弁護士費用特約を使っても費用負担なく増額を狙いやすい。
まとめ
事故後の治療内容・通院実績を記録することは、示談交渉や後遺障害認定で被害者の主張を裏付ける最強の根拠となります。
- 診察券・領収書
通院日数と費用を正確に把握 - 通院日記・アプリ
症状の変化、痛みの強さ、リハビリ内容などを具体的に記録 - 定期的に整理・保管
証拠の信憑性を高め、請求漏れを防ぐ - 医師の診断・カルテ
同じく重要。整形外科や専門医との連携でより強固な証拠を確保
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、適正な損害賠償を得るために必要な証拠の整備や保険会社との交渉をトータルでサポートしています。事故後の痛みやリハビリに追われるなかでも、ぜひ記録の大切さを意識し、分からないことはお早めにご相談ください。
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