高速道路上での多重事故の過失割合(玉突き事故の責任分配)

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はじめに

高速道路上での多重事故は、車両同士が次々に追突する「玉突き事故」が代表的な事例です。高速道路ならではの高速度車間距離不保持短時間での連鎖衝突などが特徴で、一度事故が発生すると後続車が次々に突っ込むため、どの衝突がどの車に対して責任を負うかが複雑に入り乱れます。このような多重事故での過失割合算定は、大きな示談交渉の争点となりやすいのが実情です。

本稿では、高速道路で起こる玉突き事故を中心に、過失割合を決める基本的な考え方と、どのように責任分配が行われるのかを解説します。高速道路特有のスピードや渋滞状況、天候(雨・霧・雪)などの要素が過失に与える影響、被害者側・加害者側が押さえるべきポイントを示します。正当な過失割合を勝ち取るための視点としてお役立てください。

Q&A

Q1:玉突き事故では、後ろから追突してきた車がすべて悪いのではないですか?

基本的には「追突した車が悪い」というのが追突事故の原則ですが、多重事故の場合、前車がすでに衝突して停止しているのを後続車が認識できなかったなどの事情があれば、後続車の過失が高くなるケースもありますし、前車に突然の急ブレーキなどの落ち度があれば若干の過失が認められることもあります。

Q2:玉突きで何台も絡む事故があったとき、どういう順番で過失割合を決めるのですか?

衝突した順序、各車の位置関係やブレーキ痕、ドライブレコーダー映像などを総合的に分析し、「どの車がどの車に対して過失を負うか」を一台ずつ確定していきます。最終的には全体像をまとめて示談または裁判で決定します。

Q3:高速道路で渋滞中にノロノロ進んでいたら、後ろから急に追突された場合、私は無過失ですか?

速度が非常に低い渋滞状況であれば、追突した後車がほぼ100%悪いケースが多いです。あなたにブレーキランプ故障や無合図急停車などの事情がなければ、0%の可能性が高いといえます。

Q4:高速道路で悪天候(雨や霧)だったときは、加害者の過失が増えるのでしょうか?

雨天や霧など視界不良の場合、ドライバーには速度を落とし、車間を十分に取り、安全運転をする義務があります。これを怠って事故を起こせば、加害者の過失が修正して増加される傾向にあります。

Q5:玉突きの被害にあったら、示談交渉は複数の保険会社と行うのでしょうか?

多重事故であれば、自分が被害を受けた衝突の相手保険会社と交渉しつつ、別の衝突で被害を受けた部分はさらに他の車(保険会社)とも交渉するなど、複雑化することがあります。弁護士を通じて整理・交渉するとスムーズです。

Q6:もし複数の車から追突され、それぞれが「自分は悪くない」と主張している場合、どう対処すれば?

一台ずつ責任を追及し、保険会社同士に調整してもらうか、弁護士に依頼して一括で交渉・裁判を検討するのが合理的です。どの衝突でどの傷害が生じたかを曖昧にせず、実況見分調書や映像で立証します。

解説

玉突き事故の基本構造

  1. 先頭車両が急停止 or 衝突
    • 先頭車が事故で停止し、後続車が速度を落としきれず追突。
    • その後、さらに後続車が次々に突っ込み、多重衝突が発生。
  2. 後続車同士の衝突
    • 一番後ろの車が前車に追突→前車がさらに前の車に押し出される、いわゆる玉突きの連鎖。
    • このとき「どの衝突が直接の原因か」「各車が何割の速度超過や車間距離不保持をしていたか」が問題になる。

責任分配の考え方

  1. 衝突の順番の確定
    • ドライブレコーダー映像、ブレーキ痕、車の損傷位置などで、最初に衝突した車とタイミングを特定する。
    • 事故発生が連続していても、厳密には最初の追突次の追突に区別される。
  2. 各車の過失要素
    • 高速道路での安全速度義務違反(車間距離不保持、速度超過など)が主な要素。
    • トンネル内や夜間、雨天・霧などで視界不良の場合も、後続車に特に大きな注意義務違反が問われる。
  3. それぞれの事故として算定
    • 例えば、後車Aが前車Bへ追突→さらにBがその衝撃で前車Cにぶつかった場合、AとBとの事故、BとCとの事故と2つの事故として過失割合を検討。
    • AからCへの直接衝突があれば、AとCとの事故も別に検討。

修正要素(天候・速度超過・二次的衝突など)

  1. 天候・路面状態
    • 雨・雪・凍結・濃霧などで速度を落とさず運転→後続車の過失が増加。
    • 先頭車が危険行為(無合図急停車、故障でハザード出さず停車)をしていれば先頭車にも過失。
  2. 大幅な速度超過
    • 高速道路で制限速度100km/hのところを130km/h以上出していた場合など、後続車の安全運転義務違反として過失がかなり大きくなる。
  3. 二次的衝突
    • 1回目の衝突で前車が停車して、2回目の衝突は後続車がさらに追突。どの衝撃でどの損傷・傷害が発生したのかを明確にする必要がある。
    • 仮に被害者がすでに軽傷で済んだはずが二次衝突で重傷になった場合、後続車に重度の過失が認められる可能性。

弁護士に相談するメリット

  1. 複雑な事故態様の分析
    多重事故では衝突が重なり、どの車が誰を押し出したのか混乱しがち。弁護士が実況見分調書や映像を解析し、事故態様を整理。
  2. 過失割合の適正化
    保険会社が簡単に「あなたの過失は○割です」と言っても、法的根拠や判例の整合性を弁護士がチェックし、反論して過失割合を修正
  3. 証拠収集と被害者サポート
    多数の車が絡むと保険会社の窓口も複数。弁護士が一括対応し、被害者が二次被害(交渉負担)を受けないようにする。
  4. 異なる保険会社への同時請求
    車両が何台も絡むと、加害者が複数となり保険会社も複数に。弁護士が対各保険会社交渉をまとめて行う。
  5. 裁判対応
    示談で折り合わない場合、裁判で多重事故の責任分配を決定。弁護士が訴状や主張書面を作成し、適正な判決を目指す。

まとめ

高速道路上の多重事故(玉突き事故)は、複数の車が絡み合って過失割合が非常に複雑になります。衝突した順番や各車の速度超過、天候・路面状況、すでに事故があった場面で後続車が適切に減速していたかどうかなど、多くの要素を評価し、誰がどれだけ責任を負うのかを決定しなければなりません。

  • 最初の衝突
    追突車が基本的に大きな過失
  • 二次・三次衝突
    衝突後に止まっていた車へ更に後続車が突っ込んだ場合、後続車の過失が大きい
  • 天候や路面状況
    雨天や雪、霧などで視界不良の場合は安全速度義務違反として後続車の過失が増す
  • 複数保険会社との交渉
    弁護士のサポートで混乱を防ぎ、過失割合を適正化

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、多重事故における過失割合の算定や複数保険会社との交渉も豊富な経験があり、被害者が納得のいく示談金を得られるよう尽力しています。もし玉突き事故に巻き込まれ、保険会社の提示する過失割合に疑問を感じたら、早期にご相談ください。

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