歩行者横断中に巻き込まれた高齢者の事例

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はじめに

高齢者の歩行者事故は、交通事故のなかでも大きなケガにつながりやすい事例として注意が必要です。反射神経や視力の低下で歩行速度も遅い場合が多く、自動車から見落とされやすい・避けきれないといったリスクが高まります。また、高齢者が骨折などのケガを負うと治癒に時間がかかり、後遺障害が残る可能性も高いです。被害者が高齢であることを理由に、保険会社は逸失利益などを低く見積もる傾向も否定できません。

本稿では、歩行者横断中に巻き込まれた高齢者の事例を取り上げ、過失割合や高齢者特有の損害項目(治療の長期化、介護費用、将来就労可能性など)に注目し、示談交渉をどう進めるか解説します。弱者保護の観点から、多くの判例で自動車側に高い過失が認定される一方、加害者は「高齢で就労していない」として逸失利益を否定するケースもあるため、立証の工夫が必要となります。

Q&A

Q1:高齢者が横断中に車と衝突した場合、やはり車の過失が大きくなるのでしょうか?

基本的には歩行者の弱者保護の考えが適用され、車の過失が大きくなる傾向があります。加えて、高齢者という特性(反射が遅い・歩行速度が遅いなど)も考慮され、裁判所は車により強い注意義務を認めることが多いです。

Q2:高齢歩行者が赤信号で横断していた場合でも、車の過失はゼロにならないのですか?

赤信号を無視していた場合でも、車両はある程度の安全運転義務を負っています。状況によっては歩行者の過失が大きめに認定されることはありますが、車の過失がゼロになることは少ないと言えます。

Q3:高齢者が骨折して長期入院・リハビリを要するため、示談金はどのくらい増えるのでしょう?

入通院期間が長くなるため傷害慰謝料が増え、さらに介護が必要になれば介護費用も請求対象です。後遺障害が残れば後遺障害慰謝料逸失利益が加算されるため、数百万円〜それ以上の増額可能性があります。

Q4:高齢なので働いていなかった場合、逸失利益は認められないのですか?

高齢者でも実際にパートや自営業で収入があったなら、その収入をもとに逸失利益を算定できます。働いていなかった場合でも、家事従事(家事労働)を評価する判例があるので、一概にゼロとは限りません。弁護士が立証方針を検討します。

Q5:保険会社が「高齢でもともと健康状態が悪かった」と言い、賠償金を減額しようとする場合の対処法は?

実際の健康状態を医師の診断書過去の医療記録で示し、事故前は日常生活に支障がなかったことを立証します。また、弁護士が「通常の高齢者より特に不健康だった事実はない」などを論じて、保険会社の過小評価を排除できる可能性があります。

Q6:被害者が認知症だった場合、賠償金や示談交渉はどうなるのでしょうか?

認知症で事故当時の状況が曖昧でも、弱者保護が一層強調されます。近親者が成年後見人となり示談交渉を行うケースもあります。賠償金算定では介護費用将来の施設入所費なども論点になる場合があります。

解説

想定事例:高齢歩行者が横断歩道を渡っていたところ、車にはねられ骨折

  1. 事故の状況
    • 被害者(70代女性)が青信号で横断歩道を歩いていた。加害車両は右折信号を見落として進入し、被害者と衝突。
    • 被害者は右大腿骨を骨折し、入院→リハビリで通院が長期化した。
  2. 過失割合
    • 歩行者が横断歩道上で青信号、車が信号見落とし(ほぼ赤信号)かつ注意義務違反として、車100%:歩行者0%と整理される。
  3. 示談の結果
    • 入院・通院で8ヶ月要し、肩や腰に痛みが残り、後遺障害等級14級認定。後遺障害慰謝料及び逸失利益が加算され、最終的な示談金は保険会社初回提示から150万円以上増えた。

高齢者が受けやすい被害と損害項目

  1. 骨折の長期治療
    • 骨密度が低いと大腿骨頸部骨折など重症化しやすく、歩行困難や車いす生活へのリスクが高まる。
    • 治療費リハビリ費用介護費が多額になりやすい。
  2. 後遺障害と介護の必要性
    • 高齢者はリハビリが遅れれば後遺症が残る可能性が高く、車いすやベッド生活となる事例も多い。
    • 後遺障害等級が認められれば後遺障害慰謝料介護費用(日額数千円〜など)を長期間認める判例もある。
  3. 逸失利益の扱い
    • 高齢者が無職の場合、「逸失利益なし」と保険会社が言うかもしれないが、家事労働実際のパート収入を立証すれば逸失利益を認められる可能性がある。
    • 就労証明や収入実績、また家事従事者としての評価を弁護士とともに主張。

示談交渉・裁判のポイント

  1. 過失0%の獲得も視野に
    • 歩行者が青信号で横断していたり、横断歩道上を通行中なら被害者過失0%がありうる。
    • 保険会社が1〜2割の過失を主張しても、弁護士が反論すれば0%で解決できる事例あり。
  2. 被害の深刻さを医証や介護記録で示す
    • 高齢者の骨折が日常生活にどれほど支障をもたらしているか、適切な介護やリハビリがどれだけ必要か、医師の意見書やケアプランなどで具体的に示す。
    • これにより傷害慰謝料や介護費用が加算される可能性が高い。
  3. 近親者の負担もアピール
    • 家族が日常的に介護に追われている事実を強調すれば、近親者慰謝料介護費用増額につながる場合あり。
    • 裁判官・保険会社に「車の違反により家族も大きな負担を負っている」と認識させる。

弁護士に相談するメリット

  1. 高齢被害者向けの立証ノウハウ
    弁護士が家事労働評価介護費用の実績を丁寧に立証し、保険会社の過少評価を阻止。
  2. 過失割合0%の主張
    青信号横断などの場合、保険会社が過失1〜2割を主張しても、弁護士が判例を示して被害者無過失を主張する。
  3. 長期治療・介護実態を示す
    高齢者が受ける痛み・回復困難・リハビリの重要性を医師の意見書などで強調し、慰謝料増額を交渉。
  4. 逸失利益の認定
    70代でも働いていた事実やパート収入を証明し、逸失利益を認めさせた事例等もある。弁護士が具体的な証拠集めをサポート。
  5. 費用特約・自動車保険の活用
    歩行者でも家族の自動車保険の弁護士費用特約が使える場合あり。費用負担なしで弁護士依頼が可能。

まとめ

高齢者が歩行者横断中に交通事故に巻き込まれると、骨折後遺障害が残るリスクが高く、長期の入通院が必要となることも多いです。

  • 過失割合
    歩行者は弱者保護、かつ高齢者の特性を考慮 → 自動車に大きな過失が認定されやすい
  • 長期治療
    大腿骨頸部骨折などでリハビリ期間が延び、傷害慰謝料介護費用後遺障害認定の可能性
  • 逸失利益
    高齢者でも働いていた実績や家事労働評価で一定の損害が認められる
  • 弁護士サポート
    過失0%の主張や、高額賠償(介護費・近親者慰謝料)を認定してもらう。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、高齢者の歩行者事故で保険会社の低評価に苦しむ被害者をサポートし、介護費や家事労働評価、近親者の負担を踏まえた最大限の補償を実現しています。示談金が低いと感じたり、治療費打ち切りを迫られている方は、ぜひお早めにご相談ください。

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