高次脳機能障害とは?(症状例:記憶障害、注意障害、遂行機能障害など)

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はじめに

交通事故で頭部外傷を負い、意識障害や記憶障害、注意力の低下などが生じる場合、高次脳機能障害が疑われます。高次脳機能障害は、脳の損傷によって認知機能(記憶・注意・遂行機能・判断力など)に障害が残る状態を指し、見た目の外傷が少なくても日常生活や仕事への大きな支障につながるのが特徴です。しかし、外見からは分かりにくいため、周囲に理解されずに苦しむ被害者も少なくありません。

本稿では、高次脳機能障害とは何かを中心に、代表的な症状例(記憶障害・注意障害・遂行機能障害など)や事故後にどのような経過をたどるかを解説します。さらに、認知機能低下が示談交渉や後遺障害認定でどのように評価されるかにも触れ、被害者や家族が正しい認識を持ち、適切な補償を得るための基礎知識を提供します。

Q&A

Q1:高次脳機能障害といってもピンとこないのですが、具体的にどんな症状があるのでしょう?

典型的には記憶障害(新しいことを覚えられない、すぐ忘れる)、注意障害(集中できない、周りの刺激に気を取られやすい)、遂行機能障害(段取りを立てて行動できない、複数作業を同時進行できない)などが挙げられます。ほかにも感情コントロールの難しさや社会的行動障害(突発的に怒りやすい、対人コミュニケーションが不適切になる)なども見られます。

Q2:事故後すぐに高次脳機能障害が分かるものですか?

軽度の頭部外傷の場合、当初は見逃されがちです。意識障害や頭蓋内出血があればすぐ疑われるケースもありますが、日常生活に戻ってから「ミスが増えた」「怒りっぽくなった」などが判明し、数週間~数ヶ月経って気づくことも少なくありません。

Q3:MRIやCTで明確に脳損傷が映らないと、高次脳機能障害とは認められないのですか?

必ずしもそうではありません。画像上で明確な損傷が確認できなくても、神経心理学的検査(WAIS-Ⅳ、WMS-Rなど)で認知機能の低下が客観的に示されれば、高次脳機能障害と診断される場合があります。事故との因果関係立証には医師の所見が重要です。

Q4:高次脳機能障害で日常生活に支障がある場合、後遺障害等級はどれくらいになるのでしょう?

事故で生じた脳損傷の程度にもよりますが、1~9級あたりで認定される事例があります。たとえば、軽度の記憶障害や注意障害であれば9級か12級前後、重度で常時介護を要するレベルなら1~2級となる可能性もあります。

Q5:高次脳機能障害は、被害者本人が気づいていないこともありますか?

あります。自覚が乏しいのも特有の症状で、家族や周囲が「行動が変わった」「仕事のミスが増えた」と感じて初めて異常に気づくケースが多いです。被害者自身は「事故前と変わらない」と思い込んでいることも少なくありません。

Q6:弁護士に依頼すると、高次脳機能障害の検査や後遺障害認定をサポートしてもらえるのですか?

はい。頭部外傷を疑わせる事故(頭を強くぶつけた、意識を失ったなど)の場合、弁護士が専門医の受診神経心理学検査の案内、後遺障害診断書の書き方などを支援します。適切に書類整備すれば後遺障害等級が認定され、示談金が大幅に増える可能性があります。

解説

高次脳機能障害の症状例

  1. 記憶障害
    • 新しい情報を覚えにくくなる「新しい記憶の形成障害」が代表的。
    • 事故前の記憶は比較的保たれるが、事故後の出来事が思い出せないことが多い。単純な会話や約束をすぐ忘れる。
  2. 注意障害
    • ぼんやりして集中が続かない、複数の刺激に対応できない。
    • 仕事や家事でミスが増え、周囲の話が頭に入らずトラブルになる。
  3. 遂行機能障害
    • 目標や手順を立てて行動することが困難に。複数ステップの作業を順序立てて行えない。
    • 料理や買い物などの日常タスクでもミスや抜けが多くなる。
  4. 社会的行動障害
    • 感情のコントロールが難しくなり、怒りっぽい、興奮しやすいなど人格面の変化が生じる。
    • 遅刻や計画変更に臨機応変に対応できず、社会生活に支障をきたす。

交通事故で生じる高次脳機能障害の原因と経過

  1. 頭部外傷(脳挫傷・びまん性軸索損傷など)
    • 強い衝撃で頭部が揺さぶられ、脳の一部が損傷。CTやMRIで出血や損傷が確認できる場合もある。
    • びまん性軸索損傷(DAI)のように微細な損傷は画像に映らないことが多く、見落としリスク大。
  2. 意識障害の有無
    • 長時間の意識不明や軽い意識障害だけの場合でも、脳機能に後遺症が出る場合がある。
    • 事故直後は外傷が軽く見えても、後日リハビリや生活に戻ってから問題が明らかになるケースも。
  3. 回復とリハビリ
    • 脳の損傷部位や程度によって回復度合いは大きく異なる。早期リハビリや専門医の診察が重要。
    • 完全に元の状態に戻るのは難しく、ある程度の障害が残る可能性。

後遺障害認定と示談交渉

  1. 後遺障害等級
    • 高次脳機能障害は、脳器質的損傷が確認され、認知・行動障害が残ると1級〜9級あたりで認定されることが多い。
    • 軽度症状(記憶・注意障害がわずか)でも9級や12級が認められる事例があり、証拠集めがポイント。
  2. 神経心理学的検査の実施
    • WAIS-Ⅳ(知能検査)やWMS-R(記憶検査)、注意機能検査などを行い、客観的に認知機能低下を証明。
    • 弁護士が専門医リハビリ病院を紹介する場合もあり、検査データで後遺障害を立証。
  3. 損害項目と示談金
    • 後遺障害等級が上がれば、後遺障害慰謝料逸失利益が大幅増額。重度の場合、介護費や家屋改造費なども請求可能。
    • 被害者自身に症状の自覚が薄いケースもあり、家族の観察や日常生活状況の記録が示談交渉で役立つ。

弁護士に相談するメリット

  1. 見落とし防止
    被害者や家族が「頭をぶつけたけど検査で異常なし」と思い込んでいても、弁護士のアドバイスで「高次脳機能障害を疑い、専門医を受診する」流れができ、適正な後遺障害認定を得られる。
  2. 証拠収集
    医療記録、画像検査、神経心理学的検査結果の入手をサポートし、因果関係(事故と脳機能障害)を立証するために必要な書類を整理。
  3. 後遺障害等級の認定
    等級申請や異議申立で、不適切な低い認定に対抗。弁護士が医師との連携で症状を正しく反映した診断書を作成。
  4. 高額賠償を狙える
    重度の高次脳機能障害なら、介護費用逸失利益が相当額になる。弁護士が裁判例を活用し、保険会社と対等以上に交渉。
  5. 弁護士費用特約
    費用リスクなく弁護士に相談できるため、脳外傷案件で長期の交渉・裁判も安心して依頼可能。

まとめ

高次脳機能障害は、交通事故で頭部に衝撃を受けた後に生じる認知・行動障害で、見た目に分かりにくく、被害者自身も気づかない場合が多々あります。

  • 症状例
    記憶障害、注意障害、遂行機能障害、感情コントロール困難など
  • 後遺障害等級
    1級〜9級程度が認定されるケースもあり、適切な診断神経心理学的検査が重要
  • 示談交渉
    認定されれば後遺障害慰謝料逸失利益が大幅増。家族の観察・証言も証拠になる

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、高次脳機能障害を含む脳外傷案件に豊富な実績があり、専門医やリハビリ施設とのネットワークも活かして、正しい後遺障害認定や高額賠償を狙う戦略を一括サポートいたします。頭を強くぶつけたり意識障害があった事故で、記憶や注意力の低下を感じる方は、ぜひお早めにご相談ください。

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