はじめに
交通事故で背骨(脊椎)に衝撃が加わると、骨そのものが損傷されるだけでなく、背骨の内部を通る脊髄や神経根にもダメージが及ぶ場合があります。脊椎損傷は椎骨や椎間板など骨格部分の怪我を指しますが、脊髄損傷とは脊椎内を走る中枢神経系(脊髄)の損傷を意味し、より重大な神経麻痺や感覚障害が生じる危険性があります。両者は混同されがちですが、実際には後遺障害認定や示談交渉で大きく結果が変わるため、明確に区別して理解することが重要です。
本稿では、脊椎損傷と脊髄損傷の違いを整理し、交通事故でどのようなリスクがあるのか、神経麻痺や感覚障害がどのように発生するかを解説します。また、後遺障害等級や示談交渉に与える影響にも触れ、もし事故後に背骨や神経症状が疑われる場合に何をすべきか、医師・弁護士との連携のあり方を考えていきましょう。
Q&A
Q1:脊椎損傷と脊髄損傷は具体的に何が違うのですか?
脊椎損傷とは、背骨(椎骨・椎間板などの骨格部分)の骨折や脱臼、変形などを指します。一方、脊髄損傷とは、脊柱管の中を通る中枢神経(脊髄)そのものが損傷される状態です。脊椎は外骨格、脊髄は神経組織、という違いがあります。
Q2:脊髄損傷だと、どんな麻痺が起こる可能性があるのでしょうか?
頸髄(頸椎部の脊髄)なら四肢麻痺や呼吸障害、胸髄・腰髄なら下半身の麻痺や感覚喪失、排尿・排便障害が起こりえます。損傷の高さ(レベル)が上位に行くほど、重篤な麻痺や自律神経障害が広範囲に生じるリスクがあります。
Q3:事故で脊椎を骨折したけれど、脊髄は無事だった場合でも、どの程度の後遺症が残る可能性がありますか?
骨折部位によっては腰痛や可動域制限などが後遺症として残る可能性があります。軽度の圧迫骨折でも痛みや姿勢不良が慢性化し、14級〜12級の後遺障害が認められることも。また、椎間板損傷があればしびれなど神経症状を伴う場合があります。
Q4:脊椎は折れていないのに、脊髄だけが損傷されることもあるのですか?
あり得ます。脊椎自体の骨折や脱臼がなくても、強い衝撃で脊髄が揺さぶられる(びまん性軸索損傷の脊髄版のようなイメージ)ケースや、椎間板や靱帯の損傷で脊髄が圧迫されるケースもあります。MRIで脊髄に出血や浮腫が確認される場合があるため注意が必要です。
Q5:脊髄損傷レベルの重度後遺障害では、示談金はどのくらいになりそうですか?
四肢麻痺や車いす生活が必要な1級・2級の後遺障害なら、介護費用や住宅改造費、若年者なら将来の逸失利益も大きく、1億円前後の賠償事例もあります。年齢や収入状況にもよりますが、数千万円〜1億円超の判例が実際に存在します。
Q6:事故直後は軽い腰痛だけでも、後から脊髄損傷が発覚することはあるのでしょうか?
軽度の痛みで見逃され、後からMRI等で脊髄の変性や圧迫がわかる事例もあります。症状が悪化したり、下肢のしびれが出るなど怪しい兆候があれば、再度専門医を受診すべきです。早期発見すれば、リハビリで機能回復を図りやすいです。
解説
脊椎損傷の特徴
- 椎骨・椎間板などの骨格損傷
- 圧迫骨折、骨片の飛び出し、椎間板ヘルニア化など、骨格部分の怪我。
- 脊柱管が変形して神経根を圧迫するとしびれ・麻痺が生じることもあるが、必ずしも脊髄自体が損傷しているわけではない。
- MRI・CTで確認
- レントゲンだけでは見逃す可能性があるため、CTで3D的に骨折形状を把握し、MRIで椎間板や神経根の圧迫程度を確認。
- 軽度な圧迫骨折でも日常動作に制限が残れば、後遺障害12級〜14級の範囲に該当することがある。
- 後遺障害の程度
- 先述の通り、軽度な腰椎圧迫骨折で14級や12級に認定されるケースがあり、痛みや可動域制限が慢性化する場合、9級〜8級もあり得る。
- 骨癒合後も腰痛や姿勢制限が残れば、仕事復帰が難しくなる例も。
脊髄損傷の特徴
- 神経麻痺・感覚障害
- 脊髄は中枢神経の一部で、損傷レベルにより四肢麻痺(頸髄)、下半身麻痺(胸髄〜腰髄)、排尿・排便障害など広範な障害が生じる。
- 感覚障害だけでなく自律神経機能の乱れが出る場合もあり、重度の後遺障害として認定されやすい。
- 重度後遺障害等級
- 脊髄損傷は後遺障害1級〜2級(常時介護)、3〜4級(随時介護)など、高位等級が認定される可能性。
- 介護費用や家屋改造、車いす・通院介助など高額賠償が認められやすいが、医学的因果関係の立証が重要。
- 画像検査と神経学的評価
- MRIで脊髄の出血や圧迫状態を確認。急性期には脊髄浮腫として映ることもあるが、後から明確に変性が見られるケースも。
- リハビリ科や脊髄専門施設で神経学的評価(筋力・感覚レベル)を行い、回復度合いをモニタリング。
弁護士に相談するメリット
- 正確な診断と後遺障害認定
脊椎と脊髄のどちらが傷ついているか分からない場合、弁護士が専門医を紹介し、MRIや神経学的検査を十分に受けられるよう調整。 - 高額賠償のサポート
骨折や椎間板損傷でもしびれ・痛みが長期残存すれば12級〜9級認定、脊髄損傷なら1級〜2級もありうる。弁護士が裁判所基準で交渉すれば示談金大幅アップ。 - 介護・家屋改造費用の確保
脊髄損傷で介護が必要になった場合、長期の介護費用、バリアフリー改造などを保険会社に認めさせる。 - 医療ネットワーク・セカンドオピニオン
弁護士が脊椎・脊髄損傷の専門医を知っている場合、誤診や見落としを防げる。因果関係を強固に立証。 - 弁護士費用特約
脊椎・脊髄損傷は高額示談金となる可能性が高い。特約があれば費用負担を気にせず、弁護士に全面依頼できる。
まとめ
脊椎損傷と脊髄損傷は、
- 脊椎損傷
背骨の骨格部分(椎骨・椎間板)の骨折や脱臼、圧迫骨折。痛みやしびれは神経根圧迫によるものが多い - 脊髄損傷
脊柱管内の中枢神経(脊髄)の損傷で、四肢麻痺・感覚喪失・自律神経障害など重度の後遺障害となりうる
いずれも交通事故の衝撃で起こりえ、神経麻痺や感覚障害が発生すると後遺障害で高位等級が認定される可能性があります。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、脊椎・脊髄損傷における神経障害の事案で多くの実績があり、専門医との連携や医学的証拠を整備することで、高額賠償を勝ち取る事例が多数あります。背骨や神経が怪しいと感じた時点で早めに受診し、適切な画像検査・リハビリを受けつつ、保険会社との示談交渉は専門家にご相談ください。
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