手術・リハビリ・装具療法などの治療方法

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はじめに

交通事故で脊椎(背骨)を損傷した場合、骨折や椎間板損傷の程度、神経根・脊髄への影響度合いによって、必要とされる治療方法が大きく異なります。たとえば軽度の圧迫骨折なら装具療法やリハビリで十分回復が見込める一方、神経を圧迫する大きな骨折や椎間板ヘルニア化が認められると、手術が不可避となるケースも。長期リハビリが必要になれば、保険会社が治療費を早期に打ち切ろうとする状況に直面する可能性が高いため、医学的に正しい治療計画弁護士との連携が重要です。

本稿では、脊椎損傷に対する手術療法、リハビリテーション、装具療法などの治療方法を概観し、どのようなケースでどの治療が選択されるかを解説します。事故後に背骨の痛みやしびれが長期化しそうな方は、早めに専門医の下で最適な治療を受けつつ、保険会社の打ち切りに備えて弁護士との連携を図ることで、後遺障害示談金の面で不利益を被らないようにすることが大切です。

Q&A

Q1:脊椎の手術とは、具体的にどんなことをするのでしょうか?

代表的には骨折部位の固定(金属プレートやスクリューで椎骨を固定)や、椎弓切除椎間板摘出で神経圧迫を除去する手術があります。必要に応じて骨移植を行い、脊椎を安定化させます。いわゆる脊椎固定術除圧術が主流です。

Q2:すべての脊椎骨折が手術になるわけではないのですか?

いいえ。軽度の圧迫骨折や小さな骨欠損で神経圧迫がない場合は、装具療法保存療法が選択されることが多いです。過度な不安定性や神経症状が顕著な場合にのみ手術が検討されます。

Q3:装具療法ってどんな治療ですか?

腰椎コルセットや頸椎カラーなどの装具を使用し、外部から脊椎を安定させる方法です。骨が癒合するまで脊椎を守り、痛みの軽減や悪化防止を図ります。数週間〜数ヶ月装具を着けて日常生活を送り、必要に応じてリハビリと併用します。

Q4:リハビリはどのくらいの期間続くことが多いのでしょうか?

損傷の部位と重症度により大きく変わりますが、数ヶ月〜1年以上に及ぶことも珍しくありません。神経症状があると、筋力回復や可動域改善に時間がかかるため、長期リハビリが必要となります。保険会社が早期打ち切りを迫る場合も多いです。

Q5:神経根や脊髄への圧迫が軽度でも、しびれが続くことはあるのでしょうか?

はい。軽度の圧迫や椎間板変性でも、しびれや痛みが長引く可能性があります。MRIで小さなヘルニアが見られたり、神経根が部分的に狭窄されるだけでも、慢性的な症状になることがあり、後遺障害認定(12級〜14級)の可能性もあります。

Q6:手術やリハビリが長引くと保険会社が治療費を渋ってきそうですが…。

まさにその通りです。長期入院やリハビリは治療費が高額になるため、保険会社は3〜6ヶ月程度で打ち切りを図ることも。弁護士が医学的根拠を示し、「まだ症状固定できない」と交渉し、治療継続費を認めさせるケースが見受けられます。

解説

手術療法(外科的治療)

  1. 脊椎固定術(内固定手術)
    • 強い不安定性や骨折脱臼がある場合、ボルト・ロッド・プレートなどを使って椎骨同士を固定し、神経圧迫を防ぐ。
    • 大掛かりな手術になることもあり、術後は硬膜外ドレーン装着やリハビリが必須。
  2. 除圧術(椎弓切除・椎間板摘出など)
    • ヘルニア化した椎間板や骨片が神経根・脊髄を圧迫している場合、外科的に摘出し除圧する手術。
    • 症状が改善する一方、再発や筋力低下のリスクもあり、慎重な術式選択が求められる。
  3. 骨移植・椎体形成術
    • 圧迫骨折などで椎体が潰れた場合、骨セメント注入や骨移植で椎体の高さを保つ方法もある(主に後弯変形を防ぐため)。
    • 海外ではBalloon kyphoplastyが行われることもあるが、日本では症例が限られている。

リハビリテーション(保存的治療)

  1. 理学療法(PT)
    • 温熱療法、電気治療、マッサージ、運動療法で筋力回復痛みの軽減を図る。頸椎・胸椎・腰椎いずれも、周辺筋肉の強化や可動域拡大が重要。
    • 長期間の装具着用後は筋力低下が進むため、専門的リハビリが欠かせない。
  2. 作業療法(OT)
    • 日常動作(ADL)の再獲得を目指し、洗面や着替え、家事などを段階的に練習。
    • 神経麻痺があるときは、補助具介護サービスの併用も視野に入れる。
  3. 装具療法
    • 腰椎コルセット頸椎カラーなどを使って外部固定し、骨癒合が進む間に痛みを抑え悪化を防ぐ。
    • 装具の着用期間は数週間〜数ヶ月で、過度に長引くと筋力低下を招くため医師の指示が重要。
  4. 薬物療法
    • NSAIDs(消炎鎮痛薬)、筋弛緩薬、神経症状に対するメチコバールなどを併用。
    • 痛みが強いときは神経ブロック注射も検討。

装具・リハビリが長期化する場合の示談交渉

  1. 保険会社の打ち切り
    • 装具を長期間使用していると「大した症状でないのに過剰治療」という主張をされる可能性がある。
    • 弁護士が医師の意見書を用いて「まだ骨癒合途中」「神経症状が改善傾向」と示し、治療費継続を求める。
  2. 後遺障害申請
    • 症状固定になった段階で痛み・しびれ・可動域制限が残るなら、後遺障害診断書を提出し、12級〜14級などの認定を狙う。
    • 手術後も痛みや神経症状が完全には治らず残存する例は少なくない。
  3. 介護・車いすなど補助費用
    • 脊髄損傷や重度運動障害の場合、車いすや介護サービス、家屋改造が必要。弁護士が費用を損害項目として盛り込み示談金アップを図る。

弁護士に相談するメリット

  1. 治療費打ち切り防止
    医師の診断やリハビリ計画をまとめ、保険会社が「長期通院不要」と主張してきても、弁護士が対抗し治療を続けやすくする。
  2. 後遺障害認定サポート
    手術後の痛みや可動域制限などを診断書に詳細記載してもらい、12級や9級、重度なら5級〜1級まで狙える。
  3. 介護費・リハビリ費用請求
    長期リハビリが必要な場合、弁護士が介護実態を調査し、将来介護費装具費など含めて高額示談を目指す。
  4. 異議申立・裁判対応
    万が一、低い等級・非該当となっても異議申立や裁判で追加医証を提示して逆転することも検討する。
  5. 弁護士費用特約
    脊椎手術・リハビリが長期化する事案ほど示談金も大きくなるため、特約で費用負担を軽減して依頼でき、実益が高い。

まとめ

脊椎損傷の治療方法には、

  • 手術療法
    骨折の固定術、椎間板摘出、除圧術など → 神経圧迫除去や脊椎安定化
  • リハビリ
    理学療法(温熱・電気・運動)、作業療法、長期にわたる筋力・可動域回復
  • 装具療法
    腰椎コルセット、頸椎カラーなどで外部固定 → 骨癒合と痛み軽減
  • 薬物療法・神経ブロック
    疼痛管理や神経症状抑制
    が挙げられ、症状の進行度や神経症状の有無によって使い分けられます。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、手術や長期リハビリが必要な脊椎損傷の被害者に対し、医師の意見書や画像検査を用いて保険会社の早期打ち切りを防ぎ、後遺障害認定と高額示談を勝ち取る実績を多く有します。背骨の痛みや神経症状が残る場合は軽視せず、ぜひ早期にご相談ください。

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