職業復帰・日常生活への影響(介護・バリアフリーの必要性など)

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はじめに

交通事故で脊椎(背骨)を損傷すると、骨折や椎間板の損傷、神経根や脊髄へのダメージが残るなど多様なリスクが生じます。単に痛みが長引くだけでなく、運動機能の低下やしびれ、場合によっては排尿障害下肢麻痺に至るケースも少なくありません。とりわけ事故後の職業復帰日常生活に大きな支障をきたすと、被害者は経済的負担に加え、家族への介護負担住環境の改造など総合的な再建が迫られます。

本稿では、脊椎損傷が被害者の職業復帰日常生活にどのような影響を与えるか、また介護が必要になったり、バリアフリー改造が避けられない場合にどんな対応・補償が考えられるかを解説します。保険会社は「軽度の圧迫骨折」「加齢による腰痛」とみなしがちですが、実際の労働能力家事労働への影響を正当に評価させるには、医師や弁護士との綿密な連携が重要です。

Q&A

Q1:軽度の圧迫骨折と診断されましたが、痛みが強く仕事を続けるのがつらいです。会社を辞めるか悩むのですが…

焦って退職する前に、医師と相談してリハビリ継続や休業を利用する、会社に業務軽減やデスクワーク転換を要望するなど選択肢があります。弁護士に依頼すれば休業損害の増額や逸失利益の請求を検討でき、将来的な賠償金も踏まえた判断がしやすくなります。

Q2:腰椎骨折で軽度の神経症状があり、家事労働が制限されます。主婦でも逸失利益を認めてもらえますか?

はい、主婦(家事従事者)でも家事が一定期間行えない、あるいは大幅制限されれば、家事労働の逸失利益として賠償請求が可能です。後遺障害等級(14級〜12級など)を取得すれば、その分の休業損害や逸失利益が認められる場合があります。

Q3:重度の脊髄損傷で車いす生活になったら、家や車の改造費用も保険会社に請求できるのでしょうか?

はい、家屋改造費(段差の解消、手すり設置、スロープ設置など)や車いす対応自動車の改造費などは、後遺障害の程度によって損害項目として認められる可能性があります。判例では数十万円〜数百万円の家屋改造費が認められた例も多数あります。

Q4:親が重度麻痺で自力で動けず、家族が24時間介護しています。家族介護費用はどう扱われるのですか?

重度脊髄損傷などで常時介護が必要な場合、家族が無償で介護している場合でも家族介護料として日額6,000〜8,000円程度が認められるケースがあります。家族が負担し続けるのは大変なため、示談交渉で長期的な家族介護費を請求することが可能です。

Q5:職場復帰後も、仕事量を減らしたり転職を余儀なくされたら、その分の賃金減少も賠償してもらえますか?

はい。事故が原因で賃金が下がる、または職種転換による収入ダウンが続く見込みなら、その差額を逸失利益として示談金に盛り込めます。等級認定(12級、9級など)で労働能力喪失率を設定し、賃金センサスも活用して算定します。

Q6:介護やバリアフリーの問題は、後で示談済みだと追加請求できないと聞きました。いつ交渉すればいいのですか?

示談締結前にすべての将来費用を見積もり、一括請求する必要があります。示談後に「実は車いす生活が必要になった」と追加請求は原則不可です。弁護士と相談し、症状固定の段階で医師と連携して将来の介護・家屋改造費などを包括的に算定するのが理想です。

解説

職業復帰の課題

  1. リハビリと職場の調整
    • 脊椎骨折や神経障害がある場合、理学療法・作業療法で痛み軽減や筋力回復を図りながら徐々に勤務を再開。
    • 会社側に業務内容変更時短勤務をお願いすることもあり、雇用主の理解が不可欠。
  2. 休業損害と逸失利益
    • 治療中は休業損害として給与補填を受けられる。症状固定後も労働能力が落ちれば逸失利益を請求し、示談金に反映。
    • 認定等級(14級や12級など)が高くなるほど労働能力喪失率が高くみなされ、逸失利益も増加。
  3. 職種転換・起業
    • 重度の身体障害が残った場合、以前と同じ仕事ができなくなる可能性がある。
    • 新たな職種や在宅ワークへの転向を検討しつつ、弁護士が逸失利益を評価させるよう交渉する例もある。

日常生活への影響と対応

  1. 軽度圧迫骨折での慢性腰痛
    • 長時間の立位や屈曲動作が苦痛となり、家事・育児を満足にこなせない。
    • 主婦(家事従事者)の場合、家事労働の逸失利益が認められ、後遺障害(14級)でも数十万~100万円以上の増額がある。
  2. 部分的神経障害
    • 頸椎損傷で上肢のしびれ、腰椎損傷で下肢の麻痺など、日常の移動や着替えに支障。
    • 場合によっては手すり設置通院介助生活動作サポートが必要となる。
  3. 車いす生活・介護
    • 脊髄損傷で歩行不能や排泄介助が必要 → 家族介護またはプロ介護サービス利用、家屋改造で段差解消やトイレ改装など必須。
    • これら費用を示談交渉で保険会社に承諾させるには、弁護士が医師の所見見積書などの書類を整備。
  4. バリアフリー改造
    • 玄関スロープ、階段昇降機、幅広ドアの設置などで数十万〜数百万円がかかるケースあり。
    • 判例でもバリアフリー改造費が認められる事例多数。長期介護の場合、弁護士が将来費用を含めて請求。

弁護士に相談するメリット

  1. 症状を踏まえた賠償項目の網羅
    痛みやしびれによる職業制限(逸失利益)、家事労働制限(家事代行費)、車いす・福祉用品費、家屋改造費介護費など、後々漏れがないよう算定。
  2. 適切な後遺障害等級取得
    弁護士が医師と連携し、MRI・CT所見リハビリ記録をまとめ、12級や9級など上位等級を狙う。
  3. 打ち切り防止・職場復帰サポート
    保険会社の治療費打ち切りを阻止しながら、被害者が社会復帰できるよう休業損害傷害慰謝料を最大化する。
  4. 介護費やバリアフリー費
    弁護士が実際の介護状況や改造工事見積を収集し、保険会社に将来費用として認めさせる。
  5. 弁護士費用特約
    特約があれば費用負担ゼロで依頼でき、示談金アップ分だけ被害者のメリットが大きくなる。

まとめ

脊椎損傷では、

  • 職業復帰
    軽度でも長時間労働が困難、配置転換や時短勤務が必要→逸失利益として賃金低下分を賠償
  • 家事・育児への影響
    腰痛やしびれで日常動作が制限→家事労働逸失利益を請求可能
  • 重度麻痺・介護
    車いす生活で常時介護が要る場合、家族介護費やプロ介護費、バリアフリー改造費が示談金に含まれる
  • 弁護士連携
    リハビリ計画を医師と共有し、保険会社打ち切り対策や後遺障害申請の準備を進める

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、脊椎損傷により仕事や日常で苦しむ被害者の方に、介護費や家屋改造費を含めた総合的な賠償請求をサポートしています。もし事故後に職場復帰が難しい、家事や育児に支障が出ている場合は、早めにご相談ください。

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