骨盤の損傷(骨盤骨折の重症化リスク、内臓損傷との関連)

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はじめに

交通事故で骨盤に大きな衝撃が加わると、骨盤骨折だけでなく、骨盤内に位置する内臓(膀胱・腸・血管など)に深刻なダメージが及ぶ危険があります。骨盤は身体の中心部にあり、多数の血管や神経、臓器が集約されているため、骨折が重症化すると大出血排泄機能障害歩行困難につながるケースも少なくありません。特に多発骨折や粉砕骨折では救急医療が必要となるほどの大怪我であり、後遺障害や職業・日常生活に大きな制限を残す可能性があります。

本稿では、骨盤の損傷を中心に、骨盤骨折の種類や重症化リスク、合併しやすい内臓損傷との関連を解説します。骨盤骨折の後遺障害としては、歩行障害下肢神経の麻痺排尿排便障害などが想定され、賠償金額も数千万円〜1億円超に達することがあります。事故後に股関節や腰回りの痛みが強い場合は軽視せず、早期に専門医弁護士に相談して正当な補償を得る準備をしましょう。

Q&A

Q1:骨盤骨折にはどんな種類がありますか?

前方骨折(恥骨や坐骨部位)、後方骨折(腸骨や仙腸関節部)、リング状骨折(骨盤輪全体が損傷)などがあります。多発骨折では複数箇所が折れ、骨盤が不安定化しやすいです。

Q2:骨盤骨折でなぜ内臓や血管が損傷されるのでしょうか?

骨盤内には大きな血管(内腸骨動脈など)や膀胱・直腸などの臓器が走行しています。骨折片が血管を切断したり、臓器を突き刺すリスクがあり、大量出血や膀胱破裂、腸管損傷など重篤な合併症を引き起こすのです。

Q3:骨盤骨折だとどんな後遺障害が残る可能性がありますか?

歩行障害腰痛股関節可動域制限のほか、神経障害で下肢のしびれや筋力低下、重度だと排尿障害性機能障害が残る場合も。後遺障害等級としては12級〜5級など広範囲にわたります。

Q4:軽度の骨盤骨折ならリハビリですぐ治ると思ってよいのでしょうか?

ずれが少ない骨折なら保存療法とリハビリで回復する例もありますが、痛みや歩行障害が長引くことも。レントゲンで軽度と判断されても、不十分な整復や軟部組織の損傷があると長期的に機能障害が残る可能性があり、注意が必要です。

Q5:もし骨盤骨折で排尿障害が生じれば、後遺障害等級はどのくらいになるのでしょう?

排尿障害が重度なら5級3級など高位等級が検討され、常時介護が必要なレベルなら1級〜2級になるケースも。若年者であれば将来介護費逸失利益が非常に大きく計算されることがあります。

Q6:保険会社が「高齢だからもともと骨盤が弱かった」と言ってきた場合、どう対抗すれば?

弁護士が事故前の生活状況(痛みなし、普通に歩行していた)、医師の見解(骨折は事故によるもの)を示して反論します。裁判であっても「加齢変性」と事故の因果関係を切り離す主張が通るとは限らず、事故による外力が主因と認められるケースが想定されます。

解説

骨盤骨折の重症化リスク

  1. 骨盤輪の破綻
    • 骨盤は腸骨、坐骨、恥骨などが輪状に構成しており、前方と後方が同時に折れると骨盤が大きく不安定化。
    • 大きな出血が起こりやすく、ショック状態に陥る可能性大。手術で外固定血管塞栓が必要。
  2. 骨盤内臓器の損傷
    • 膀胱破裂直腸損傷子宮・卵巣ダメージなど、事故後の排泄障害性機能障害が長期化。
    • 大血管損傷では大出血を起こし救急対応が迫られ、後遺障害として下肢機能や排尿機能が失われる可能性がある。
  3. 歩行障害・座位困難
    • 骨盤骨折後に股関節可動域仙腸関節の安定性が低下し、歩行時の痛み・不安定感が長期化。
    • 座位保持が難しくなり、仕事や家事に重大な支障をきたすケースも多い。

内臓損傷との関連

  1. 膀胱・尿道損傷
    • 骨盤骨折で恥骨坐骨がずれ、尿道や膀胱が断裂・破裂 → 血尿、排尿困難
    • 完全破裂や尿道断裂でカテーテル管理が必要になれば、後遺障害で5級〜3級程度に認定され、介護費や高額賠償となりうる。
  2. 大腸・直腸損傷
    • 後方骨折で仙骨・尾骨周辺が損傷し、直腸が裂けるなど重篤な合併。人工肛門(ストーマ)を造設する可能性がある。
    • 排泄障害が残れば自力排便不可失禁が起こり、介護費や家屋改造など莫大な費用が示談金に加算。
  3. 女性器・性機能障害
    • 女性では子宮や卵巣へのダメージ、性交痛不妊リスクが残ることがある。
    • 男女とも性機能障害(勃起不全等)となれば、後遺障害で9級〜5級が認められる可能性も。

後遺障害・示談金への影響

  1. 高位等級の可能性
    • 骨盤骨折で排泄障害下肢麻痺が残れば1級〜5級、軽度でも9級〜12級等で示談金が大幅に増える。
    • 主婦や若年者なら逸失利益が長期にわたって発生し、数千万円~1億円規模になることも。
  2. 介護費用とバリアフリー改造
    • 常時介護が必要なら、家族介護料やプロ介護費を将来にわたって計算し、示談金に上乗せ。
    • 車いす利用になればスロープ設置浴室改造などバリアフリー費用も損害項目として請求。
  3. 保険会社の「加齢性や元々骨弱い」の主張
    • 高齢者の骨盤骨折で、保険会社が「もともと骨粗鬆症」などと言ってくることが多い。弁護士が事故前の生活医師の意見書で事故との因果関係を明確化し、賠償を正当に評価させる。

弁護士に相談するメリット

  1. 医師との連携で重症度を正確に把握
    CT・MRI・血管造影などの結果を収集し、骨盤骨折の範囲内臓損傷の有無を的確に立証。
  2. 介護費・家屋改造費を示談に加算
    弁護士が家族介護の実態や見積書を整理し、将来介護費を数千万円〜1億円レベルで算定し保険会社に交渉。
  3. 後遺障害認定の高位等級
    重度骨盤骨折による歩行障害や排泄障害があれば1級〜5級の可能性。医師の診断書を充実させ、高位等級を目指す。
  4. 示談金アップ
    保険会社は任意保険基準で低く提示 → 弁護士が裁判所基準適用し、大きく増額。特約があれば負担なしで依頼できる。
  5. 追加合併症(性機能障害など)
    弁護士が医師の見解を元に、性機能や生殖機能など広範な後遺障害を示談金に盛り込み、適正評価を受けられる。

まとめ

骨盤の損傷は、

  • 骨盤骨折
    前方・後方・多発骨折 → 大出血歩行障害排泄障害のリスク高
  • 内臓損傷
    膀胱破裂、直腸損傷、性機能障害 → 後遺障害で1級〜5級など高位等級に
  • 示談金
    介護費や家屋改造費を含め数千万円〜1億円超のケースも
  • 加齢性変化の主張 → 弁護士が事故との因果関係を論証し、保険会社の過小評価を排除

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、骨盤骨折や内臓合併損傷が疑われる被害者に対し、専門医との連携や詳細な検査を通じて後遺障害の高位等級介護費を示談金に盛り込む実績があります。もし事故後に股関節や腰周りの痛み・排泄障害が続く場合は、早めにご相談ください。

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