
はじめに
交通事故で股関節に強い衝撃が加わると、大腿骨近位部骨折(大腿骨頸部・転子部の骨折)や関節唇損傷などの重大なケガが発生するリスクがあります。股関節は身体の中でも最大の関節のひとつで、歩行や立ち上がりなど日常動作に不可欠な部位です。ここを骨折・損傷してしまうと、長期間のリハビリや人工股関節置換などを余儀なくされ、後遺障害や日常生活への大きな影響が想定されます。
本稿では、股関節の代表的損傷として、大腿骨近位部骨折(頸部骨折・転子部骨折)や関節唇損傷の症状と治療法、後遺障害のリスクを解説します。高齢者ほど骨折のリスクが高く、「単なる打撲」と軽視されがちですが、しっかりと手術やリハビリを行わないと歩行障害が残ることが珍しくありません。保険会社が早期打ち切りを狙う場合にも、医師や弁護士と連携し、正当な補償を得られるよう備えましょう。
Q&A
Q1:大腿骨近位部骨折とは具体的にどこが折れるのですか?
大腿骨の頸部(首の部分)や転子部(大転子・小転子周辺)が折れるものを指します。大腿骨頸部骨折は特に高齢者に多いですが、交通事故の強い衝撃でも起こる可能性があり、骨癒合しにくいため人工骨頭置換術が選ばれることが少なくありません。
Q2:関節唇って何でしょうか?
股関節唇は、股関節を形成する寛骨臼の周囲を取り囲む軟骨性の唇状組織です。これが損傷すると股関節の安定性が損なわれ、痛みや引っかかり感が出やすくなります。交通事故で足をひねるなどすると傷つく可能性があります。
Q3:大腿骨近位部骨折だと歩けなくなるんじゃないでしょうか?
骨折が重度だったり、血流障害で骨癒合が見込めない場合、人工骨頭置換や人工股関節置換が施行されます。手術後もリハビリをきちんと行えば歩行はある程度回復できますが、可動域制限や痛みが残ることも多く、後遺障害となるリスクがあります。
Q4:関節唇損傷はどのように治療しますか?
症状が軽度なら保存療法(リハビリ・注射など)で経過をみることもありますが、痛みや引っかかりが強い場合は関節鏡手術で修復・切除を行うケースもあります。適切に治療しないと変形性股関節症に進行するリスクがあります。
Q5:股関節のケガが後遺障害に認定されると、どのくらいの等級になるのでしょう?
可動域制限や痛みの度合いによって14級〜10級あたりが多いですが、重度(人工股関節置換など)で股関節の用廃と認定されれば8級〜5級となることも。高齢者でも逸失利益はある程度認められます。
Q6:歩行器や杖が必要になった場合、その費用や住宅改造なども請求できますか?
はい。介護費用や補助器具費用、さらに段差解消や手すり設置など家屋改造費も後遺障害等級の程度によっては請求可能です。程度によっては1級〜5級の高位等級で終身介護を要すると判断され、数千万円〜1億円超となる可能性もあります
解説
大腿骨近位部骨折
- 骨折の種類
- 頸部骨折:大腿骨頭に続く「首」の部分が折れる。血流障害で骨癒合が難しく、人工骨頭置換になりがち。
- 転子部骨折:大転子・小転子間が折れるパターン。転位が大きいとプレート・髄内釘固定が行われる。
- 症状と治療
- 足を着けない激痛、足が外側に回旋して短く見えるなど。レントゲンやCTで骨片の転位を確認。
- 手術後は歩行リハビリが重要。高齢者の場合、寝たきりにならないよう早期からリハビリに取り組む。
- 後遺障害のリスク
- 歩行困難、可動域制限、股関節の痛み → 12級〜10級程度
- 人工関節置換で股関節の用廃とみなされれば8級〜5級となる場合も。
関節唇損傷
- メカニズム
- 股関節が捻られる事故形態で、寛骨臼のふちにある軟骨性の唇(ラブルム)が裂ける。
- MRIや関節鏡で断裂部位を確認。レントゲンだけでは見えないことが多い。
- 症状
- 股関節の深部痛、特定の角度で「クリック音」や引っかかり感、長時間立っていると痛みが増すなど。
- 放置すると変形性股関節症に進行し、最悪人工関節が必要になるリスクあり。
- 後遺障害
- 関節唇損傷を適切に治療しなかった場合、慢性的な痛みや可動域制限が残り14級〜12級認定となり得る。
- 日常生活や家事労働の制限で逸失利益も大きくなる。
弁護士に相談するメリット
- 追加検査の必要性主張
保険会社が「単なる打撲」と過小評価 → 弁護士がMRI/関節鏡検査を提案し、費用負担交渉。 - 後遺障害診断書の強化
股関節可動域検査、痛みの度合い、歩行テスト等を医師の診断書へ詳細に記載 → 12級〜10級認定を狙う。 - 高額賠償への道
股関節損傷は歩行障害や人工関節で労働能力低下が大きい → 弁護士が裁判所基準で示談金算定し大幅アップ。 - 介護費・家屋改造費も視野
重度の場合、歩行器・車いす、家屋改造など高額費用が必要 → 弁護士が専門医と連携し請求根拠を整備。 - 打ち切り対策
リハビリを要する期間が長引くと保険会社が早期打ち切りを図る → 弁護士が医師の所見で対抗し、十分な治療期間を確保。
まとめ
股関節の損傷(大腿骨近位部骨折、関節唇損傷など)では、
- 大腿骨近位部骨折:頸部骨折や転子部骨折 → 人工骨頭置換・髄内釘固定など手術
- 高齢者:骨癒合困難や寝たきりリスク→介護費や家屋改造費が示談金に大きく影響
- 保険会社打ち切り:長期リハビリでも弁護士が介入し正当評価→裁判所基準で示談金大幅増
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、股関節の骨折・関節唇損傷で大きな後遺障害を負った被害者を多く支援し、医師と連携してMRI/CT所見を詳細に分析、高い逸失利益等を含めた高額示談を実現する実績があります。事故後に股関節痛や歩行障害が続く方は、ぜひ早めにご相談ください。
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