
はじめに
交通事故で肩周辺に強い衝撃が加わると、肩関節を支える骨(上腕骨近位部など)の骨折だけでなく、鎖骨骨折が生じやすくなります。肩は複数の骨と関節・靱帯・腱によって構成されており、一度骨折や変形が起きると腕の挙上や回旋などの可動域が制限され、日常動作や仕事・家事に大きな支障を及ぼすケースがあります。さらに鎖骨は皮膚のすぐ下にあり、骨折後に変形治癒が生じると外観にも影響を残すことがあり、後遺障害の認定につながる可能性が高い部位です。
本稿では、肩・鎖骨骨折に焦点を当て、可動域制限や変形が残った場合の後遺障害等級、具体的にどのようなポイントで認定されるかを解説します。事故後に肩が上がらない、鎖骨が盛り上がっているなどの症状が続く場合は、医師の正確な診断とあわせて、保険会社との示談交渉を有利に進めるために弁護士への相談をお勧めします。
Q&A
Q1:肩・鎖骨骨折で可動域制限が残ると、具体的に何級くらいが認定されるのでしょう?
肩関節の屈曲・外転・内転などの可動域が著しく制限されれば12級〜10級程度が検討されます。軽度な痛みや筋力低下なら14級に留まることもあります。
Q2:鎖骨骨折が変形治癒すると後遺障害としてはどんな評価になりますか?
見た目に鎖骨の盛り上がりや段差などが顕著で「外観が著しく変形」している場合は、醜状障害として認定される可能性がありますが、肩の可動域制限や疼痛など機能障害と合わせて評価されることも多いです。
Q3:肩が挙がらない原因は骨折だけでなく腱板損傷や靱帯障害もあるかもしれませんが、後遺障害的にはどう扱われるのでしょうか?
骨折に伴う腱板損傷(ローテーターカフ損傷)や靱帯の断裂も、「事故で肩関節が機能障害をきたした」として可動域制限や痛みが残るなら12級や14級などで認定されます。骨折と軟部組織損傷の両面で医師の所見をまとめることが大切です。
Q4:鎖骨が折れてプレート固定した後、プレートを抜去しないと可動域が少し制限されることはありますか?
はい。固定プレートが鎖骨表面に装着されるため、動作時の違和感や痛みが残る場合があります。医師と相談し、骨癒合後に抜釘手術を行うケースも。もしプレートが原因で可動域が制限されているなら、その状態も含めて後遺障害が検討され得ます。
Q5:主婦やデスクワークでも、肩が上がらないとどのくらい逸失利益を請求できるのでしょう?
後遺障害等級が12級なら労働能力喪失率14%、10級なら27%などで賃金センサスか実収入を基に計算します。主婦も家事労働逸失利益として請求可能。弁護士に依頼すれば具体例を踏まえて高い評価を求めていきます。
Q6:骨折後に1年経っても肩がしびれたり上がらないのですが、保険会社は「そろそろ症状固定では?」と言ってきます。どうしたらよい?
弁護士が医師と連携し「まだ筋力回復の余地がある」「可動域向上が見込める」と意見書を作成してもらい、保険会社に治療継続を認めさせる交渉が可能です。十分リハビリしても改善見込みが少なければ後遺障害診断書を作成し、等級申請に移ります。
解説
肩関節・鎖骨骨折と治療法
- 肩関節周囲の骨折
- 上腕骨近位部骨折(解剖頸・外科頸)などが典型。整復固定が必要な場合もあり、転位が大きいと手術を検討。
- リハビリを怠ると肩関節が拘縮し、腕が挙がらない後遺症を残すリスク。
- 鎖骨骨折
- クラビクルバンドでの保存療法が多いが、転位が大きいとプレート固定手術を行う。
- 偽関節や変形治癒が起こると見た目や肩帯の安定性に問題が出る。
- 腱板損傷の合併
- 肩周りを強打した場合、ローテーターカフ(棘上筋など)が断裂することがあり、骨折治療だけでは肩の挙上障害が治らないケースも。
- 関節鏡手術などで修復し、長期リハビリを要する。
後遺障害等級のポイント
- 可動域制限
- 屈曲(腕を前に挙げる)・外転(横に挙げる)・回旋などの角度測定で、12級(関節機能障害)や10級などが検討される。
- 弁護士が医師に依頼し、正確な関節角度を診断書に反映するのが重要。
- 鎖骨変形・醜状障害
- 鎖骨が強く盛り上がるなど外観変形が顕著 → 醜状障害として12級相当、
- 機能障害(肩の動き)と合わせて併合される場合もある。
- 痛み・しびれ(神経症状)
- 長期の痛みやしびれが残れば14級9号で認定されることが多い。
- ただし客観的所見が薄いと非該当リスク。弁護士がMRIなどで軟部損傷を立証すると有効。
示談交渉での注意点
- 医師の診断書作成
保険会社は「肩関節の拘縮が軽微」と主張しがち。弁護士が可動域測定や疼痛の度合いを詳細に医師に書いてもらう。 - リハビリ打ち切り
肩はリハビリが6ヶ月〜1年以上かかることも多く、早期打ち切りされると可動域が十分に回復しない。弁護士が治療継続を交渉。 - 家事・仕事への支障
主婦が腕を上げられない、デスクワークで腕が痛いなど具体的影響を示して逸失利益を算定。弁護士が補強資料を準備。
弁護士に相談するメリット
- 治療期間の確保
肩・鎖骨骨折で長期リハビリが必要 → 弁護士が医師の意見書で保険会社の打ち切りを阻止。 - 後遺障害診断書の強化
可動域測定、変形写真、神経症状を詳細記載し、上位等級を狙う。 - 家事・職業への影響立証
弁護士が家事労働や業務内容の具体例を示し、保険会社に逸失利益を認めさせる。主婦でも大きな賠償獲得可能。 - 示談金大幅アップ
保険会社は任意保険基準で低額提示→弁護士が裁判所基準を提示し、数倍増額を実現。 - 弁護士費用特約
肩周りのケガでも示談金が数百万〜1,000万円超になることがある。特約があれば費用負担を軽減して依頼できメリット大。
まとめ
肩・鎖骨骨折(可動域制限や変形が残る場合の等級)では、
- 上腕骨近位部骨折や鎖骨骨折 → 手術or保存療法後に変形・可動域制限が残り、12級〜の後遺障害
- 鎖骨変形治癒 → 醜状障害or 肩機能障害併合の可能性
- 腱板損傷の合併 → 腕が挙がらない症状で追加認定の可能性
- 弁護士連携 → レントゲンやMRI、可動域テスト、逸失利益算定で示談金大幅アップ
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、肩・鎖骨骨折により腕が上がらない、骨が盛り上がって変形してしまったなどの後遺障害を負った被害者に対し、医師との連携や裁判所基準での交渉で大きな賠償金を獲得してきた実績があります。事故後に肩が動かしづらい、鎖骨が変形している方は、ぜひ早めにご相談ください。
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