肋骨骨折(多発肋骨骨折による呼吸障害・変形障害の評価)

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はじめに

交通事故で胸部に強い衝撃が加わると、肋骨骨折が生じやすく、特に多発肋骨骨折では肺や胸膜など呼吸器系への影響や、胸郭変形に伴う長期障害が懸念されます。肋骨は胸郭を形成し、呼吸運動内臓保護に関わる重要な骨で、軽度なヒビでも強い痛みがあり、複数本が折れると呼吸障害肺挫傷を合併する可能性もあります。これらが後遺障害として評価される場合、呼吸機能障害変形障害が等級認定の鍵となります。

本稿では、肋骨骨折に焦点を当て、多発肋骨骨折の場合に生じる呼吸障害胸郭変形などの後遺障害評価について解説します。事故後に胸の痛みが長引く、呼吸がしづらいと感じる場合は、レントゲンCTで肋骨の状態をチェックし、内臓損傷がないかも確認する必要があります。保険会社が軽症扱いすることも多い部位ですが、弁護士と連携して症状の深刻度を立証すれば、示談金が大幅に変わる事例も少なくありません。

Q&A

Q1:肋骨骨折は単なるヒビでも痛いのですよね? なぜそんなに痛みが強いのでしょうか?

肋骨は呼吸運動や上半身の動きで常に動くため、わずかなヒビでも痛みが強く長引く傾向があります。くしゃみ・咳・笑いでも痛みが増すため、日常生活に支障が大きいです。

Q2:多発肋骨骨折とは何を指しますか?

複数本の肋骨が同時に折れる、あるいは同じ肋骨の複数箇所が折れている状態(フレイルチェスト)を指します。胸郭が不安定になり、呼吸困難肺損傷のリスクが上昇します。

Q3:フレイルチェストになるとどのくらい重症化するのでしょう?

フレイルチェストでは胸郭の一部が呼吸時に逆方向に動く(動揺胸郭)ため、十分な換気ができず呼吸不全を起こすことがあります。集中治療や人工呼吸管理が必要になり、後遺障害として呼吸機能胸郭変形が認定される例があります。

Q4:肋骨骨折が原因で肺が損傷したり、胸膜が傷つくこともありますか?

はい。鋭利な骨片が肺や胸膜を突き刺して気胸血気胸肺挫傷を起こす恐れがあります。これらが後に肺機能低下を引き起こす場合、呼吸機能障害の後遺障害となる可能性も。

Q5:骨折後に呼吸障害が残ったら、後遺障害等級はどのくらいでしょうか?

呼吸機能障害は幅広く、肺活量などの呼吸機能検査結果で判定します。

Q6:肋骨骨折で胸郭変形が残るって、具体的にはどういう状態でしょう?

肋骨がずれて癒合し、胸郭の形が歪んだり、前面に盛り上がり陥没ができたりして、呼吸時の動きが不自然になる状態です。外見上分かりやすい変形や、呼吸時の可動性制限が顕著なら、後遺障害として等級認定が検討されます。

解説

肋骨骨折のメカニズムと種類

  1. 単発骨折
    • 1本だけヒビが入る、折れるなど軽度〜中度のケース。
    • 咳やくしゃみでも痛みが強く、固定しにくい部位のため自然治癒を待つ保存療法が中心。
  2. 多発骨折(フレイルチェスト)
    • 肋骨が複数本、あるいは同一肋骨が2箇所以上折れて胸郭が自由に動いてしまう状態。
    • 呼吸不全を起こすリスクが高く、重症例では集中治療管理や胸郭安定化手術が行われる。
  3. 合併症
    • 気胸・血気胸:骨片が肺や血管を損傷 → 胸腔内に空気や血液が溜まる。
    • 肺挫傷:肺組織が打撲され内出血や腫れ → 酸素交換の障害。

後遺障害となる症状

  1. 呼吸障害
    • 多発肋骨骨折後、胸郭の可動性が低下し息苦しさ肺活量低下が続く。
    • 呼吸機能検査(スパイロメトリー)で肺活量一秒量を測定 → 障害程度を算定する。
  2. 胸郭変形
    • 肋骨が変形癒合し、外観上盛り上がり歪みが残る。呼吸時の動きが不自然で痛みが続く場合、醜状障害機能障害として認定される可能性。
    • 重度なら肋骨の固定胸郭の不安定が原因で日常動作に大きな制限。
  3. 神経痛・慢性疼痛
    • 肋骨骨折で肋間神経を刺激し、慢性的に肋間神経痛が続くことも。14級9号の神経症状扱いで認定される例がある。

示談交渉・後遺障害等級の評価

  1. 呼吸機能障害の検査
    • 肺活量などを計測する呼吸機能検査が後遺障害評価の根拠となり、軽度〜重度に応じて等級が分かれる。
  2. 変形障害・醜状障害
    • 骨が突出したり大きく沈むなど、見た目に明らかな異常があれば12級相当、可動域の大幅低下で10級〜を狙うケースも。
    • 弁護士が写真やCTで客観的に変形を立証し、保険会社の過小評価を防ぐ。
  3. 肺損傷の合併
    • 肋骨骨折で肺挫傷・気胸を起こし、慢性的な呼吸不全が残った場合 → 高位等級も検討対象。
    • 弁護士は呼吸機能検査CTを元に医師の意見書を整備し、示談金を大きく増額させる。

弁護士に相談するメリット

  1. 医学的資料の整備
    肋骨骨折で「軽症」扱いされがち → 弁護士が呼吸機能検査胸部CTなど追加検査を要請し、後遺障害をしっかり立証。
  2. 高位等級の申請
    呼吸機能障害が中度以上なら重度の後遺障害の可能性 → 弁護士が等級認定基準を精査し、裁判所基準で示談金を算定。
  3. 変形障害や神経痛の評価
  4. 胸郭変形が視覚的にわかる場合、醜状障害も考慮。肋間神経痛で慢性痛があるなら14級9号主張。
  5. 治療費打ち切り対策
    弁護士が医師の所見で「まだ呼吸リハビリが必要」「骨癒合不十分」と保険会社に説明し、治療継続を認めさせる。
  6. 弁護士費用特約
    多発肋骨骨折で高額示談金が見込まれるなら特約で費用リスクなく依頼 → 得られる増額分が大きい。

まとめ

肋骨骨折(多発肋骨骨折による呼吸障害・変形障害の評価)では、

  • 多発骨折(フレイルチェスト):胸郭不安定→呼吸困難→後遺障害で呼吸機能障害が認定される可能性
  • 合併症(気胸・肺挫傷):肺活量低下→高位認定も
  • 変形障害:肋骨変形で盛り上がり・陥没→12級程度、神経痛で14級神経症状
  • 弁護士対策:呼吸機能検査・CT所見を整備→保険会社の軽視を防ぎ、示談金大幅アップ

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、肋骨骨折で「単なる捻挫・打撲扱い」される方や、多発骨折肺損傷を抱える重症被害者に対し、機能検査写真資料を用いて後遺障害を証明し、裁判所基準で大きな示談金を獲得してきた経験があります。事故後に胸の痛みや呼吸しづらさが続く方は、早期にご相談ください。

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