交通事故の後遺障害11級・12級|仕事や家事への影響と適正な賠償金を得るためのポイント

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はじめに

交通事故による怪我が完治せず、痛みや動かしづらさが残ってしまった場合、「後遺障害(後遺症)」の等級認定を申請することになります。後遺障害等級は1級から14級まであり、数字が小さいほど症状が重くなります。

その中で第11級と第12級は、「相当程度の障害が残っているものの、他人の介護を要するほどではなく、ある程度の生活動作は可能」という位置付けにあります。しかし、これは「生活に支障がない」という意味ではありません。むしろ、外見からは分かりにくい痛み(疼痛)やしびれ、関節の可動域制限などが、仕事や家事に深刻な影響を与え続ける等級です。

特に12級は、最も認定数が多い14級(神経症状)と異なり、画像所見などの医学的根拠が明確にある場合に認定されるため、賠償額も大きく跳ね上がります。一方で、保険会社からは「そこまでの重症ではない」と争われやすい領域でもあります。

この記事では、交通事故被害者の方が直面しやすい「後遺障害11級・12級」の具体的な症状、認定のポイント、そして弁護士に依頼することで大きく変わる可能性のある賠償金について解説します。

交通事故の11級・12級に関するQ&A

まずは、後遺障害11級・12級に関して、被害者の方からよく寄せられる疑問にお答えします。

Q1:むちうちで「後遺障害12級」が認定されることはありますか?

はい、可能性がありますが、ハードルは高いと言えます。

一般的に「むちうち(頸椎捻挫・腰椎捻挫)」で認定される後遺障害は、多くの場合「14級9号(局部に神経症状を残すもの)」です。しかし、MRI画像などで神経の圧迫が明確に確認でき、それが事故によるものであると医学的に証明できる場合は、「12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)」が認定される可能性があります。14級と12級では、後遺障害慰謝料だけで約3倍近くの差が生じるため、適切な検査を受けることが重要です。

Q2:脊柱(背骨)の圧迫骨折をした場合、何級になりますか?

変形の程度や運動障害の有無により、主に11級、8級、6級のいずれかが検討されます。

背骨(脊柱)の圧迫骨折は、骨癒合した後でも背骨がつぶれたり変形したりすることがあります。変形が中程度のものであれば「11級7号(脊柱に変形を残すもの)」に該当する可能性があります。さらに著しい変形がある場合はそれ以上の上位等級となります。また、単なる変形だけでなく、痛みや運動制限が伴う場合は、それらも含めて総合的に評価されます。

Q3:主婦(主夫)ですが、11級や12級認定で家事への影響は考慮されますか?

はい、正当な「逸失利益」として請求可能です。

現実に給与を得ていない専業主婦(主夫)であっても、家事労働には経済的価値があると認められています。11級や12級のような身体的な障害(関節が曲がらない、持続的な痛みがある等)が残れば、家事の効率は低下します。そのため、賃金センサスの平均賃金を基礎として、労働能力喪失期間に応じた逸失利益を請求することができます。

解説:後遺障害11級・12級の認定基準と特徴

後遺障害等級において、11級と12級は「労働能力の喪失」が明確に認められる重要な分岐点となります。それぞれの等級における代表的な症状と認定基準について解説します。

1. 後遺障害11級の特徴と主な認定基準

11級は、身体の一部に明確な欠損や変形、機能障害が残るものの、全面的な労働不能には至らない状態を指します。労働能力喪失率は20%が基準となります。

代表的な11級の認定要件

  • 第11級7号(脊柱に変形を残すもの)
    交通事故による圧迫骨折などで、背骨(脊椎)に一定の変形が残った場合です。日常生活動作は可能でも、重い荷物が持てない、背中が痛みやすいなどの支障が生じます。
  • 第11級4号(10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの)
    事故の衝撃で歯を10本以上失ったり、著しく欠損してクラウンやブリッジ、入れ歯などの治療を行った場合です。
  • 第11級8号(1手のすべての指の用を廃したもの)
    片手の親指以外の4本の指について、用を廃した(動かない、感覚がない等)状態などを指します(※指の障害は組み合わせが複雑なため、正確な診断が必要です)。

2. 後遺障害12級の特徴と主な認定基準

12級は、画像等の他覚的所見によって証明できる神経症状や、関節の機能障害などが該当します。労働能力喪失率は14%が基準となります。

代表的な12級の認定要件

  • 第12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)
    MRIやCT、神経学的検査などにより、痛みの原因が医学的に「証明」できる場合です。単なる自覚症状(14級相当)とは異なり、他覚的所見が必須となります。
  • 第12級5号(鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨または骨盤骨に著しい変形を残すもの)
    鎖骨骨折などで、骨が曲がったまま癒合してしまった場合などが該当します。裸体になったときに変形が明らかに見て取れるレベルが基準となります。
  • 第12級6号(1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの)
    肩、肘、手首のいずれかの関節の可動域が、健康な側(健側)と比較して「4分の3以下」に制限された場合です。
  • 第12級7号(1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの)
    股関節、膝、足首のいずれかの関節の可動域が、健側と比較して「4分の3以下」に制限された場合です。

3. 生活や仕事への影響

11級や12級は、一見すると五体満足に見えるケース(鎖骨の変形や、外部からは見えない神経障害など)も少なくありません。しかし、被害者自身の感覚としては以下のような深刻な影響が生じます。

  • 持続的な疼痛・しびれ: 天候や疲労により悪化し、デスクワークの集中力を削ぐ。
  • 関節の可動域制限: 高いところの物が取れない、正座ができない、階段の昇降がつらい。
  • 変形障害: 服を着ていれば分からないが、入浴時などに自身の体を見て精神的な苦痛を感じる。

これらの障害は、肉体労働だけでなく、事務職や家事労働においても「能率の低下」や「持久力の低下」を招きます。

11級・12級における賠償金の重要項目

後遺障害等級が認定されると、治療費や休業損害とは別に、「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」が請求可能になります。11級・12級では、その金額規模が大きくなるため、適切な計算が不可欠です。

1. 後遺障害慰謝料の基準(弁護士基準 vs 自賠責基準)

後遺障害を負ったことに対する精神的苦痛への補償です。保険会社が提示する基準(自賠責基準や任意保険基準)と、弁護士が交渉する場合の基準(弁護士基準・裁判基準)には大きな乖離があります。

等級自賠責基準(最低限の補償)弁護士基準(裁判所が認める基準)差額
第11級136万円420万円約284万円
第12級94万円290万円約196万円

このように、弁護士基準で交渉を行うだけで、慰謝料額は200万円〜300万円近く増額する可能性があります。

2. 逸失利益(将来の収入減少への補償)

後遺障害により労働能力が低下し、将来得られるはずだった収入が減ってしまうことへの補償です。計算式は以下の通りです。

逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

  • 労働能力喪失率:
    • 11級:20%
    • 12級:14%

これはあくまで目安であり、職種や障害の内容によって増減を主張する必要があります。

  • 労働能力喪失期間:
    • 原則として67歳までの期間。
    • ただし、12級(特に神経症状)の場合、保険会社は「慣れなどを考慮して5年〜10年程度」と短期間に制限してくるケースが多々あります。これに対して、画像所見や具体的な業務支障を根拠に、より長期の期間を主張することが交渉の争点となります。

弁護士に相談するメリット

後遺障害11級・12級の事案において、弁護士に依頼するメリットは単なる「慰謝料の増額」にとどまりません。

1. 等級認定の確率を高めるサポート

11級や12級の認定には、医師による診断書だけでなく、MRIやCTなどの画像証拠、神経学的検査の結果、可動域測定の正確性が求められます。

整形外科医は治療のプロですが、必ずしも「後遺障害認定手続き」のプロではありません。弁護士は、どのような検査結果が必要か、後遺障害診断書にどのような記載があるべきかを助言し、適切な等級認定をサポートします。

2. 「労働能力喪失期間」の制限への反論

前述の通り、12級の神経症状では、保険会社側から逸失利益の期間を短く見積もられる傾向があります。「痛みがあっても仕事はできるだろう」という主張に対し、弁護士は被害者の具体的な業務内容や、事故後の減収事実、職場での配慮状況などを証拠化し、長期間の逸失利益を認めてもらうよう交渉します。

3. 家事従事者(主婦・主夫)の正当な評価

専業主婦や兼業主婦の方の場合、保険会社は「実際の減収がない」として逸失利益を低く見積もることがあります。弁護士は、賃金センサスに基づいた平均賃金を基礎収入として算定し、家事労働への支障を金銭的に正当に評価させます。

4. 適切な示談金の獲得

弁護士が代理人となることで、最も高額な基準である「弁護士基準」での示談交渉が可能になります。11級・12級クラスになると、賠償総額が1000万円を超えるケースも珍しくありません。この規模になると、本人交渉と弁護士交渉での差額は数百万円以上に及ぶことが一般的です。

まとめ

交通事故による後遺障害11級・12級は、四肢麻痺などの重度障害(1級など)と比較すると「軽傷」と見なされがちですが、被害者の方にとっては、慢性的な痛みや可動域制限により、これまでの生活が一変してしまう重大な事態です。

特に以下の点に留意してください。

  1. 認定の壁: 12級以上の認定には、自覚症状だけでなく、画像所見などの医学的な裏付け(他覚的所見)が不可欠です。
  2. 賠償の壁: 保険会社の提示額は、本来受け取るべき裁判基準の額よりも大幅に低いことが一般的です。特に逸失利益の計算(喪失率や期間)で減額されやすい傾向があります。
  3. 専門家の必要性: 適正な等級認定と賠償金を得るためには、事故直後の通院段階から専門的な知識に基づいた対応が必要です。

後遺障害が残るかもしれないと感じた時点、あるいは保険会社からの提示額に疑問を持った時点で、早めに弁護士に相談することをお勧めします。適正な補償を受けることは、これからの生活の基盤を整えるための正当な権利です。

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