Posts Tagged ‘よくある交通事故の事例・ケーススタディ’
交差点での右直事故による事例
はじめに
交差点での右直事故とは、対向する車が「右折」と「直進」で衝突する事故のことです。交通事故のなかでも争点になりやすい事故態様であり、右折車が大きな過失を負う傾向にあるものの、直進車に速度超過や信号無視などの違反があれば、直進車側にも過失が認められる場合があります。
本ケーススタディでは、右折車と直進車が衝突し、被害者(直進車側)が骨折を負った事例を取り上げ、どのように過失割合を決定し、示談交渉や後遺障害認定などが行われるのかを解説します。右直事故は信号の有無、優先道路の有無、直進車の速度など、複数の要素が複雑に絡み合うため、ポイントをしっかり押さえることが大切です。
Q&A
Q1:右直事故で基本的に右折車が悪いと聞きましたが、直進車に過失がつく例も多いのでしょうか?
このような典型的な事故事例は、「別冊判例タイムズ」などで示されています。しかし、直進車が速度超過や黄信号進入、夜間無灯火などの事情があれば、直進車の過失が修正され(増える)ことがあります。
Q2:交差点で右折車と衝突し、私(直進車)が骨折しました。加害者保険会社は「直進車も速度オーバー」と主張していますが、どう反論すべきですか?
まずは速度超過の証拠(ドライブレコーダー、警察の実況見分調書など)を保険会社が出しているか確認します。加害者側が立証できないのであれば、「速度超過を裏付ける客観的証拠がない」と反論可能です。仮に軽微な超過でも、どの程度事故に影響したかを弁護士と再検討します。
Q3:右直事故で骨折した場合、後遺障害が認められるとしたらどんなケースがありますか?
骨折箇所が変形治癒したり、関節可動域制限が残った場合です。部位によっては12級などの認定が期待できます。可動域の具体的角度や痛みの症状などを医師の診断書に記載し、後遺障害診断書を整備しましょう。
Q4:骨折で入院・手術となった場合、示談金はどのくらい増えるのでしょうか?
入通院期間が長くなるため傷害慰謝料が増加し、通院交通費や入院雑費なども増えます。さらに後遺障害が残れば、その分の逸失利益と後遺障害慰謝料が加わり、結果として数百万円以上変わることも珍しくありません。
Q5:もし信号がない交差点だった場合、過失割合はどうなりますか?
信号がない交差点では優先道路や一時停止標識の有無が大きな判断要素です。右折車に一時停止義務があるのに守らなかったなら、右折車の過失が増えます。直進車が優先道路を走行していた場合も、直進車の過失が低く評価される傾向があります。
Q6:右折車に飲酒や無免許など悪質な違反があった場合、骨折した被害者の慰謝料はさらに増額しますか?
はい。悪質運転があれば被害者の精神的苦痛が一段と大きいと見なされ、慰謝料の加算がなされる場合があります。示談交渉の段階でも弁護士が飲酒の悪質性を強調して増額を求めることも考えられます。
解説
想定事例:交差点で右折車と衝突し被害者が骨折
- 事故概要
- 被害者(直進車)は青信号の交差点を直進中、対向車線から右折してきた加害車と衝突。
- 被害者はフロント部分に衝撃を受けて大腿骨骨折し、救急搬送され手術が必要となった。
- 示談交渉上の争点
- 右折車の注意義務違反(安全確認不足)を主張し、過失割合の大半を加害者側が負うべきだと被害者が訴える。
- 保険会社は直進車にも「速度超過」「前方不注意」があったのではと主張して過失を求めてくる。
- 最終的な示談結果
- 直進車が制限速度を大きく超えていなかった点やドライブレコーダーで青信号が確認されたことが決め手となる。
- 被害者は手術費・入院費・慰謝料などを裁判所基準に近い水準で受け取り、後遺障害(骨折による可動域制限12級)が認められれば逸失利益も加算され、多額の示談金が得られる見込みがある。
過失割合の具体的要素
- 信号の有無・優先道路
- 信号がある交差点:右折車が赤信号や直進車青信号なら右折車に重過失。
- 信号がない場合:優先道路がどちらか、一時停止標識の有無を考慮し、右折車が優先車両の進行を妨害したとして高い過失。
- 直進車の速度
- 20〜30km/h超の速度超過が認められれば、直進車の過失が修正される可能性がある。
- 夜間・天候・見通しの悪さ
- 夜間でライトが不十分、霧や雨で視界不良、交差点の見通しが悪いなどの要素も加減算に作用する場合がある。
- 右折車が悪天候で直進車を見落としたとしても、それが重大違反とされれば右折車の過失が修正される。
治療・後遺障害認定での注意点
- 骨折の手術・リハビリ
- 大腿骨や上腕骨などの大きな骨折では、手術・入院後のリハビリが長期化しやすい。入通院実績は傷害慰謝料の増額材料。
- 後遺障害等級
- 骨折が変形治癒したり、関節可動域が大きく制限されれば上位の後遺障害等級が認められるケースもある。
- 医師の後遺障害診断書に可動域の具体的計測や痛みの程度を詳細に記載してもらうことが重要。
- 逸失利益と介護費用
- 被害者が就労不能期間を長く要したり、重度障害で車いす生活となれば、逸失利益や介護費用が大きな金額を占める。
- 若年者なら就労可能年数が長く、高額化しやすい。
弁護士に相談するメリット
- 過失割合交渉
- 右折車 vs 直進車の基本型をもとに、被害者直進車が速度超過等を否定し、過失を最小限に抑える戦略を遂行。
- 具体的判例や実況見分調書・ドライブレコーダー映像などで論拠を補強し、保険会社に譲歩を促す。
- 骨折の後遺障害認定サポート
- 骨折部位や変形治癒の程度など、等級認定に必要な画像検査・計測を医師に依頼し、診断書の書き方を指示。
- 12級・10級・8級などの認定を得られれば慰謝料・逸失利益が大幅増。
- 治療費打ち切り防止
- 保険会社が「骨折はもう治ったはず」と早期打ち切りを主張してきても、医師の意見書やリハビリ報告書で継続治療の必要性を交渉。
- 被害者に無用な負担をかけないようサポート。
- 示談金増額
- 弁護士が裁判所基準(赤い本等)をもとに保険会社と交渉し、任意保険基準との差を埋める。
- 悪質運転(飲酒・無免許)なら慰謝料増額を求める。骨折で通院日数が長期化することも傷害慰謝料の増額事由になる。
- 弁護士費用特約
- 事故形態によって長い交渉が予想されても、特約があれば費用負担を軽減して専門家に依頼でき、結果的な示談金増を見込める。
まとめ
交差点での右直事故による骨折事例では、
- 過失割合:右折車側の過失が大きいと判断される傾向にあるが、直進車側の速度超過や信号違反などで修正あり
- 骨折による後遺障害:変形治癒や可動域制限が残れば12級〜8級などの認定可能性がある
- 示談交渉:弁護士が介入し、裁判所基準や判例を根拠に保険会社と交渉すれば、治療費・慰謝料・逸失利益が増加することが期待できる
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、右直事故で骨折した被害者に対して、適切な過失割合の算定と後遺障害認定のサポートを行い、示談金の最大化を目指しています。保険会社が過失を主張してきたり、慰謝料を低く見積もる場合も、ぜひ早期にご相談ください。
その他のコラムはこちら|交通事故のコラム一覧
リーガルメディアTV|長瀬総合YouTubeチャンネル
交通事故についてさらに詳しく知りたい方のために、当事務所では交通事故後の対応に役立つ解説動画を配信しています。ご興味がある方はぜひご視聴及びチャンネル登録をご検討ください。
初回無料・全国対応|お問い合わせはお気軽に
長瀬総合法律事務所では、ホームページからの予約、オンラインでの予約、電話、LINEといった複数のお問い合わせ方法をご用意しております。お好みの方法でお気軽にお問い合わせください。
追突事故で頸椎捻挫(むちうち)を負った場合の想定事例
はじめに
追突事故は交通事故のなかでも非常に多い類型で、被害者がむちうち(頸椎捻挫)に悩まされることがよくあります。一見「軽傷」と思われがちですが、事故後長期にわたって首や肩の痛み、頭痛、しびれなどが続き、日常生活や仕事に支障をきたすケースも少なくありません。また、保険会社が「むちうちは検査で異常が出ない」「数ヶ月で治るだろう」と評価し、示談金が過小に押さえられるトラブルも後を絶たないのが現実です。
本稿では、追突事故で頸椎捻挫(むちうち)を負った事例を取り上げ、どのように治療を進め、後遺障害等級を認めてもらい、保険会社との示談交渉を乗り切るかを解説します。適切な通院と検査、医師とのコミュニケーションがカギとなるため、実際のケーススタディを通じて学んでいきましょう。
Q&A
Q1:むちうちはレントゲンでは異常が映らないと聞きますが、どうすれば後遺障害が認められるでしょうか?
MRIや神経学的テスト(ジャクソンテスト、スパーリングテストなど)で神経根症状を確認したり、医師の診断書に具体的な症状経過を記載してもらうことが重要です。単に「首が痛い」と訴えるだけでは不十分で、診断書の内容が後遺障害認定のカギになります。
Q2:追突事故でむちうちになり、数ヶ月通院しましたが、仕事が忙しくて途中から通えなくなりました。示談金は大幅に下がりますか?
通院が途中で途絶えると、保険会社や裁判所からは「痛みが軽くなったから通院不要になったのでは?」と疑われる可能性が高いです。結果として傷害慰謝料や後遺障害認定が不利に働くことがあるため、定期的通院を継続するか、医師と相談して別の治療方法を確保しましょう。
Q3:後遺障害14級が認められるだけでも示談金は大きく変わるのでしょうか?
はい。14級(むちうちなど軽度の神経症状)でも、不認定と比べて数十万~100万円以上の増額差が生じるケースがあります。軽度と思われがちなむちうちでも、きちんと医証を揃えれば等級認定につながる可能性があるため重要です。
Q4:追突されたときに、こちらにもわずかに過失が認められる場合があるのですか?
追突事故は基本的に「後車100%:前車0%」が原則ですが、前車が急ブレーキを踏んだ、合図なしで停止したなどの特殊事情があれば、前車にも過失を認めるケースがあり得ます。しかし、実際には後続車が十分な車間距離をとっていれば避けられたという判断が多く、前車が0%となる事例が大半といえます。
Q5:加害者が飲酒運転の状態で追突してきた場合、慰謝料は増額されますか?
通常より精神的苦痛が大きいとして、数十万円以上の加算が行われる可能性があります。示談段階でも、弁護士が飲酒の悪質性を強調し、保険会社に譲歩を求めることで増額を求める方法もあり得ます。
Q6:治療が長引いているのに保険会社が「そろそろ打ち切り」と言ってきました。対処法は?
保険会社が一方的に治療費を打ち切るといっても、医師が「治療継続が必要」と判断しているなら、交渉による延長を打診することが考えられます。弁護士が介入し、医師の意見書などを提出することで、延長交渉を行うことも一つの手法です。
解説
事例:追突事故で頸椎捻挫になったケース
- 事故の状況
- 渋滞中に被害車が停止していたところ、後ろの車がブレーキ操作を誤り、追突。
- 被害者は首と肩に強い痛みを感じ、その場で警察・救急を呼んだ。
- 通院・治療の経過
- 整形外科でレントゲンを撮影したが骨に異常なしとの診断。医師がむちうち(頸椎捻挫)と告げ、1日数回のリハビリ通院を指示。
- 数週間後、痛みが改善せずにMRIを撮ったが大きな異常なし。しかし神経学的テストで軽度陽性が出ており、首の可動域が狭いとの記録が残る。
- 示談交渉でのポイント
- 保険会社が「むちうちは軽い症状」と述べ、早期打ち切りを示唆。被害者は半年以上真面目に通院し、症状固定後に後遺障害診断書を取得。
- その結果、14級9号の認定が下り、後遺障害慰謝料および逸失利益(症状が仕事に支障をきたす可能性があるとして)が一部認められ、数十万円〜数百万円以上の増額ができる場合がある。
示談交渉で押さえるべきポイント
- 通院実績の蓄積
- むちうちの場合、痛みが継続していることを示すため、定期的な通院とリハビリが重要。
- 医師の診断書に「痛みが続いている」「可動域が狭い」など具体的記載があれば、示談での交渉材料に。
- 神経学的テストの活用
- ジャクソンテストなどで客観的異常を示すことができれば、保険会社の「単なる主観的な痛み」の主張を排除しやすい。
- 弁護士が医師にテスト実施を依頼、結果を後遺障害診断書に反映してもらう方法が実務的。
- 裁判所基準 vs 保険会社基準
- 保険会社の示談金提示は多くの場合、裁判所基準より低い傾向にある。
- 弁護士が赤い本や判例を根拠に、「もし裁判になれば○○万円が認められる可能性が高い」と交渉し、任意保険基準から裁判所基準へ引き上げを狙う。
注意点と落とし穴
- 途中で通院をやめてしまう
- 痛みが継続しているのに、「仕事が忙しい」などの理由で通院しなければ、後遺障害認定が厳しくなる。
- 保険会社に「もう治ったと判断できる」と言いくるめられる可能性大。
- 整骨院や接骨院だけの通院
- レントゲンやMRIなど医学的検査ができる病院での通院も並行しないと、医証不足で後遺障害認定が不利になる。
- 整骨院の施術記録は重要な参考にはなるが、後遺障害審査で最も重視されるのは整形外科等の医師の所見。
- 事故との因果関係を疑われる
- むちうち症状が出るのが数日遅れだったり、事故後すぐに受診しなかった場合、保険会社は因果関係を否定する場合がある。
- 痛みが少しでもあれば事故直後から整形外科受診を検討し、カルテ記載を確保する。
弁護士に相談するメリット
- 後遺障害認定へのサポート
- 弁護士がどのような検査やリハビリが必要かを医師に相談し、被害者へもアドバイスを行う。
- 結果として十分な医証を整えて14級などを認定してもらいやすくなる。
- 示談金の大幅増
- むちうちで14級や12級が認められれば、裁判所基準で数十万~数百万円以上の増額が期待できる。弁護士が保険会社を説得しやすくなる。
- 保険会社の早期打ち切りを防ぐ
- 弁護士が医師の意見書などを利用して必要な治療継続を訴えれば、保険会社の打ち切りを牽制することが期待できる。
- 過失割合争いにも対応
- 追突事故では加害車が100%とされやすいが、例外主張に対しても弁護士が「車間距離不保持や前方不注視」を論じ、被害者過失を拒否できる。
- 弁護士費用特約
- むちうち事案でも特約があれば費用負担なしで弁護士に依頼でき、最終的に示談金が大きく増えやすい。
まとめ
追突事故で頸椎捻挫(むちうち)を負った被害者は、「軽傷」と思われがちですが、長期に及ぶ首・肩の痛み、頭痛、しびれなどの後遺症に苦しむケースが多数あります。
- レントゲン異常なし
→ 画像上は異常がなくてもMRI・神経学的テストで異常を見つける - 定期通院の重要性
→ 数ヶ月で痛みが引かず通院継続すれば、後遺障害認定14級などが狙える - 示談交渉
→ 弁護士が介入し、裁判所基準で慰謝料交渉を行えば数十万~数百万円以上の差
弁護士法人長瀬総合法律事務所は、むちうち事案にも豊富な実績があり、医師との連携や後遺障害認定手続きをサポートします。保険会社が「軽傷だからこの額で十分」と主張しても、決してあきらめず、ぜひ早期にご相談ください。
その他のコラムはこちら|交通事故のコラム一覧
リーガルメディアTV|長瀬総合YouTubeチャンネル
交通事故についてさらに詳しく知りたい方のために、当事務所では交通事故後の対応に役立つ解説動画を配信しています。ご興味がある方はぜひご視聴及びチャンネル登録をご検討ください。
初回無料・全国対応|お問い合わせはお気軽に
長瀬総合法律事務所では、ホームページからの予約、オンラインでの予約、電話、LINEといった複数のお問い合わせ方法をご用意しております。お好みの方法でお気軽にお問い合わせください。